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テレワークのストレス対処法 コーピング
テレワークが浸透し始めた頃、多くの人が「コロナ禍で電車に乗らなくて良い」「イヤな上司と会わないで済む」「家の中で自分のペースで仕事ができる」「メールはあったとしても、電話はあまりかかってこないし、仕事の妨害が少ない」と言っていました。
しかし、リモート中の方の健康診断をすると、まず男性はコレステロールや中性脂肪など、生活習慣病絡みの値が上がっている人が多く、女性はストレスによる過食や極端な食欲不振を示す結果がでています。
いずれにしても身体的な実害が起きているケースが多くみられています。
また、「ずっと家で仕事をしている」ことでのストレスももちろんあります。
例えば、ご夫婦で働いていらっしゃる家庭の場合、2人とも家の中にいて、それぞれの会社の仕事をリモートで行うことになります。
そもそも家の構造自体が「仕事をするため」に作られていないことが大半ですから、リビングを使ってテレワークをするケースは多いと思います。
そういう環境でテレワークをしなければいけないし、なおかつ3度のご飯の支度をしなければならないと……これは随分な負担です。
常に落ち着きがない状態が続いていることになりますから、当然ストレスは増えると思います。
また、コロナ以前のストレスは、「会社帰りに一杯飲んで上司の悪口などを言う」「休日にスポーツや遊びの時間を作る」といったことで解消できていたのですが、テレワークの環境では解消できないことが多く、気晴らしに外に出ることもできないので、ストレスのやり場がなくなっています。
そういうやり場のないストレスが重なり、心理的な面、肉体的な面で不調が出ることは多いと思います。
今回は、テレワークで増大したストレスの対処法(コーピング)をご紹介します。
ストレスを「ためない」「元を断つ」ではなく「対処する」コーピング
ストレス過多に陥ると「さらなるストレス」を加算してしまったり、連鎖することはあります。
例えば普段なら気にならなかった音に対して、異常に不快を感じるなど。
「ストレスはたまらないようにすれば良い」「ストレスの元を断てば良い」ということはよく言われていますが、しかし容易にできることではありません。
特にテレワークでの家庭環境は簡単に変えられませんから、そういった環境下で心理的なストレスを溜め込んでいくうちに、そこからさらに連鎖して、それまでなら全く気にならなかった水道の音、洗濯機の音まで不快に感じるようになり、本来のストレスをさらに増幅させてしまうことはあります。
こういった、ストレスの元をなかなか断てないような場合、「元を断つ」「たまらないようにするストレスの」から「対処する」に切り替えることです。
「コーピング」という専門用語があるのですが、(英語のcope=対処するに由来)これはストレスの元となるものを断つことはできないけれど、うまく対処していく、うまくやり過ごす方法を身につけることを指す言葉です。
今日、ストレスを感じたら翌日まで持ち越さず、今日のうちにコーピングしておくほうが良いです。
なんとなくストレスを感じたまま翌日、さらに翌日と過ごしていると、最初はそれほど大きくなかったストレスが気付いたときにはうんと大きくなっていることがあります。
「食欲がない」「眠れない」「動けない」といったはっきりした症状が出てから気付くのではなく、日頃からストレスに対してコーピングする意識を持つ、対処し実践すると良いと思います。
①まずはコーピングリストを作成しよう。
コーピングリストとは、自分がストレスを感じているときに行うと、ストレスを軽減できる行為や言動のリストのことです。
コーピングを効果的にするためには、コーピングリストの作成が役立ちます。
作成のためには、まず自分の性格のプラス面や、機嫌がよくなること、相談できる人、友達や兄弟などを書き出すことからはじめます。
好きな食べ物やレクリエーション、自分をいたわる言葉などを並べてみてもよいでしょう。
②コーピングを実践しよう。
今していることからいったん離れる
ストレスを手っ取り早く低減するには、今取り組んでいる作業から離れると良いでしょう。
長時間の休憩を取る必要はなく、短時間でも効き目があります。
ただ自分の注意を他のことへ向けるだけ、スマホで短いゲームをしたり、ソーシャルメディアをチェックしたり、テレビ番組や映画を15分間だけ鑑賞してから、仕事へ戻りましょう。
体を動かす
運動はストレス解消にとても役立ちます。
仕事の合間の休憩には、必ず軽い運動をしましょう。
たった5分間の運動でも、ストレスやフラストレーションを軽減できます。
家の周囲を数周歩いたり、10分間のヨガやダンス、ウェイトリフティングをしたりなど、どんな運動でもよいです。
重要なのは、とにかく体を動かすこと、運動はストレスを軽減するだけではなく毎日少しでもパソコンの画面から離れる時間を作ることで、肩こりや頭痛、目の疲れを予防する効果もあります。
環境を変える
ソーシャルディスタンス(対人距離の確保)が必要な今、外出してストレスを解消するのは難しいが、環境を変えることはできます。
家の外へ出るのが難しい場合は、別の部屋へ移動するのも良いです。
環境を変えることで、自分の注意を別のことへ向ける努力をしましょう。
もし可能なら、外へ出て新鮮な空気を吸ったり、散歩に出たりしましょう。
外へ出るスペースがなければ、開け放した窓のそばへ行くだけでも効果があります。
友人に電話する
単に友人と会話することが、ストレス解消の特効薬になることもあります。
外出制限や自主隔離はコロナウイルスの感染拡大防止に役立ちますが、メンタルヘルスの面ではあまり良くありません。
外出制限によって他人と直接接触する機会が減り、ストレスにつながってしまいます。
電話やビデオチャットで誰かと話しましょう。
文字だけでのやり取りは十分ではなく、ストレス軽減効果はあまり期待できません。
③結果的にストレスが減少したかを判断しよう。
コーピングリストを試した後、ストレスがどのくらい緩和されたかを確認します。
ストレスがかなり減っているようなら、その対処法に効果があったということになります。
ストレスがまだ残っていると感じたら、試している対処法を続けたり、別の方法を試したりしましょう。
このように、
・自分のストレスの本質を知る(コーピングリストの作成)
・対処方法を考え、実行する
・ストレスの減少を確認する
というサイクルを意識的に繰り返して、コーピングスキルを徐々に上げることをイメージしてください。
まとめ(自分を大切にする)
今の社会は特異な状況にあるため、自分自身を大切にすることが以前にも増して重要になってきます。
常に生産性を保つ必要はありません。
必要最低限の仕事をこなすのが精一杯だという日もあります。
「この状況もいつかは終わるのであり、私ならきっと乗り越えられる」と自分に言い聞かせましょう。
大きなストレスを感じる時ほど、これを思い出すことが重要です。