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新型コロナウイルス対策 日本で処方可能な漢方薬5選をご紹介
中国は新型コロナウイルス対策に、漢方薬を全面的に取り入れています。
新型コロナの患者のうち7万4187人(全体の91.5%)に漢方薬を使用し、臨床観察の結果、漢方薬の有効率は90%以上に達したそうです。
国家中医薬(漢方薬)局党組織の書記、余艶紅(Yu Yanhong)氏によると、「漢方薬により症状が効果的に緩和することが示された。漢方薬が軽症や一般的な症状の患者が重症化するのを減らし、治癒率を高め、死亡率を下げることも分かった」
天津中医薬大学の張伯礼校長は、「漢方薬は早期と回復期にかなり効果がある、漢方薬を主とした西洋医学との総合治療を進めた結果、564人の患者は1人も重症化しなかった」と述べた。
中国では新型コロナウイルスの治療に、幅広く漢方薬を取り入れて対策をしているようです。その結果一定の効果を上げています。
また日本でも、漢方医学の第一人者、金沢大学附属病院漢方医学科 小川 恵子先生が、「COVID-19 感染症に対する漢方治療の考え方」を発表しています。
新型コロナウイルスに特効薬とワクチンがない今、漢方薬を試してみる価値はあるのではないでしょうか。
次に中国で取り入れられている新型コロナウイルスに効果的な漢方について紹介します。
中国で取り入れられている新型コロナウイルスに効果的な漢方について
山東省中医院の薬剤師らが漢方薬を包装している(2020年4月3日撮影)
前述でご紹介した余氏は、
新型コロナウイルスの有効性が確認できた漢方薬は、金花清感顆粒、連花清瘟カプセル、血必浄注射液、清肺排毒湯、化湿敗毒方、宣肺敗毒方などを始めとする効果的な処方・薬品を選出。
連花清瘟はSARS治療の時期に開発された処方で、主な機能は「清熱解毒、宣肺泄熱」で、軽症及び中度の新型肺炎患者に対して有効だったようです。
次に新型コロナウイルスの有効性が確認できた漢方薬3選についてご紹介します。
新型コロナウイルスの有効性が確認できた漢方薬3選
金花清感(きんかせいかん)顆粒
主な効果
熱と解毒を取り除きます。喉の痛み、鼻づまり、鼻水、喉の渇き、咳や痰を伴う咳に使用されます。 インフルエンザA H1N1に起因する上記の症状を含むすべての種類のインフルエンザに適用されます。
構成生薬
金銀花、石膏、麻黄、杏仁、黄金、連翹、貝母、知母、牛蒡子、青蒿、薄荷、甘草
連花清瘟(れんかせいおん)カプセル
主な効果
「清瘟解毒、宣肺瀉熱」の効果を持ち、感染性の発熱およびそれに伴う症状と、肺の症状(咳・呼吸困難など)を改善します。
構成生薬
麻黄、杏仁、甘草、石膏、連翹、金銀花、板藍根、貫衆、魚腥草、藿香、大黄、紅景天、薄荷
清肺排毒湯(せいはいはいどくとう)
主な効果
喫煙などによりダメージを受けた肺や気道の血流に働き、気道組織の潤滑・再生を促す、慢性的な呼吸器疾患や粘り気の強い痰が切りにくい場合に用いられます。
構成生薬
麻黄 、炙甘草 、杏仁 、生石膏 (先煎)、 桂枝、澤瀉 、猪苓 、白術 、茯苓 、柴胡 、黄芩 、姜半夏 、生姜 、紫菀 、冬花 、射干 、細辛 、 山薬 、枳実 、陳皮 、藿香
金花清感、連花清瘟、清肺排毒湯は残念ながら、日本で処方することができません。
ですが、日本の医療用漢方製剤に置き換えることにより、同等程度の効果をえることは可能だそうです。
次に、金花清感顆粒、連花清瘟、清肺排毒湯を日本の医療用漢方製剤に置き換えた場合についてご紹介します
新型コロナウイルス 日本の医療用漢方製剤 漢方薬2選について
金花清感顆粒、連花清瘟に代わる日本の医療用漢方製剤について
黄連解毒湯、清上防風湯、荊芥連翹湯、もしくはこれらの組み合わせで代用できます。
黄連解毒湯
体の熱や炎症をとり、機能の亢進をしずめる働きがあります。体力がある人で、のぼせ気味、また血圧が高めの人に向いています。
具体的には、のぼせ、ほてり、イライラ感、不眠、動悸、胃炎、鼻血などの出血、あるいは高血圧にともなう頭重感や肩こり・めまい・耳鳴りなどに適応します。
構成生薬
黄連(オウレン)、黄ごん(オウゴン)、黄柏(オウバク)、山梔子(サンシシ)の4種類で、いずれも熱や炎症をしずめる寒性の生薬です。山梔子には、止血作用もあるといわれます。これらがいっしょに働くことで、よりよい効果を発揮します。病院では、煎じる必要のない乾燥エキス剤を用いるのが一般的です。
清上防風湯
清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)という方剤です。顔の熱や炎症をとり、また皮膚病の病因を発散させる働きがあります。そのような作用から、顔の皮膚病、とくにニキビの治療に適します。体力のある人で、赤ら顔の人に向く処方です。
構成生薬
防風(ボウフウ)、薄荷(ハッカ)、荊芥(ケイガイ)、連翹(レンギョウ)、黄連(オウレン) 、黄ごん(オウゴン)、 桔梗(キキョウ)等で、主薬の“防風”は、発散作用をもつ代表的な生薬です。
“薄荷”や“荊芥”、“連翹”などにも同様の作用があり、皮膚から病因を発散して治します。そのほか、炎症をしずめる“黄連”や“黄ごん”、排膿を助ける“桔梗”などの生薬がいろいろと配合されています。これらがいっしょに働くことで、よりよい効果を発揮します。病院では、煎じる必要のない乾燥エキス剤を用いるのが一般的です。
荊芥連翹湯
体の熱や腫れをひき、病因を発散させ、また、血液循環をよくします。
具体的には、蓄膿症や慢性鼻炎、痰がからむ扁桃炎、あるいは、炎症をともなうニキビや湿疹などに適応します。また、そのような病気になりやすい、いわゆる腺病体質を改善します。
構成生薬
黄ごん(オウゴン)、黄柏(オウバク)、黄連(オウレン)、桔梗(キキョウ)、枳実(キジツ)、荊芥(ケイガイ)等、熱や炎症をさますもの、病因を発散させるもの、痰や膿を排出するもの、あるいは血流をよくする生薬などがいろいろと配合されています。これらがいっしょに働くことで、よりよい効果を発揮します。病院では、煎じる必要のない乾燥エキス剤を用いるのが一般的です。
清肺排毒湯に代わる日本の医療用漢方製剤について
麻杏甘石湯+胃苓湯+小柴胡湯加桔梗石膏を一緒に服用し代用します。
麻杏甘石湯
気管支を広げ、また痰を出しやすくして呼吸を楽にします。その作用から、ひどい咳や気管支喘息に適応します。
構成生薬
麻黄(マオウ)、杏仁(キョウニン)、甘草(カンゾウ)、石膏(セッコウ)の4種類です。薬理的に重要な役割をする“麻黄”には、交感神経刺激薬のエフェドリン類が含まれます。この成分は、西洋医学の気管支拡張薬と同様の作用を示し、咳やゼイゼイする喘鳴をおさえます。そのほか、去痰作用のある“杏仁”、熱や腫れをしずめる“石膏”、緩和作用のある“甘草”などが配合されています。これらがいっしょに働くことで、よりよい効果を発揮します。病院では、煎じる必要のない乾燥エキス剤を用いるのが一般的です。
胃苓湯
食あたり、お腹のゴロゴロ、下痢、嘔吐、腹痛などを改善します。
構成生薬
厚朴(コウボク)、蒼朮(ソウジュツ)、沢瀉(タクシャ)、猪苓(チョレイ)
陳皮(チンピ)等、胃腸によいもの、あるいは無駄な水分を取り除く生薬がいろいろと配合されています。病院では、煎じる必要のない乾燥エキス剤を用いるのが一般的です。
小柴胡湯加桔梗石膏
のどの炎症や痛みをやわらげ、また、そのようになりやすい体質を改善します。
構成生薬
柴胡(サイコ)、黄ごん(オウゴン)、石膏(セッコウ)、桔梗(キキョウ)、半夏(ハンゲ)、人参(ニンジン)、 甘草(カンゾウ)等、“柴胡”と“黄ごん”、“石膏”の組み合わせにより、炎症をしずめる効果が高まります。“桔梗”は、去痰・排膿作用のある生薬です。また、“半夏”は胸のつかえ感や吐き気をおさえます。そのほか、滋養作用の“人参”、炎症や痛みを緩和する“甘草”などが配合されます。これらがいっしょに働くことで、よりよい効果を発揮します。病院では、煎じる必要のない乾燥エキス剤を用いるのが一般的です。
どの漢方薬も日本で処方可能です、お近くの漢方医もしくは漢方薬局にご相談してみてはいかがでしょうか。
次に、日本で購入可能な新型コロナウイルス予防に効果のある漢方薬をご紹介します。
新型コロナウイルス予防に効果的な漢方薬
予防なので、保険適応できませんが、薬局でも購入できます。
おススメは漢方医もしく漢方薬局処方されたものを服用することですが、薬局でも購入できます。(生薬の量が少ないので注意してください。)
補中益気湯(ホチュウエッキトウ)
動物実験より、補中益気湯はインターフェロン自体の産生を抑制すると報告されています 。
効果
滋養強壮作用のある“人参”と“黄耆”、水分循環をよくする“蒼朮”、炎症をひく“柴胡”、血行をよくして貧血症状を改善する“当帰”、のどの痛みや痔を治す“升麻”、胃腸の働きをよくする“陳皮”や“生姜”などです。これらがいっしょに働くことで、よりよい効果を発揮します。
構成生薬
人参(ニンジン)、蒼朮(ソウジュツ)、黄耆(オウギ)、当帰(トウキ)、陳皮(チンピ)、大棗(タイソウ)、柴胡(サイコ)、甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)、升麻(ショウマ)
十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)
我々のヒト対象の研究では、十全大補湯服用によって NK 細胞機能が改善されることが分かっています。また、抑制系も活性化されることから、過剰な炎症の予防も予想されます 。
効果
血行をよくして貧血症状を改善する“当帰”や“川きゅう”、“地黄”をはじめ、滋養強壮作用のある“人参”や“黄耆”、水分循環をよくする“蒼朮”や“茯苓”などが配合されています。これらがいっしょに働くことで、よりよい効果を発揮します。
構成生薬
黄耆(オウギ)、桂皮(ケイヒ)、 地黄(ジオウ)、 薬(シャクヤク)、蒼朮(ソウジュツ)川芎(センキュウ)、当帰(トウキ)、人参(ニンジン)、茯苓(ブクリョウ)、 甘草(カンゾウ)
倦怠感はあるが肺炎症状なしの軽症者の場合の漢方薬
- 胃腸の不調の場合には、香蘇散+平胃散
- 発熱を伴う場合には、黄連解毒湯 + 清上防風湯 + 荊芥連翹湯
- 悪寒を伴う場合には、葛根湯、麻黄湯、麻黄附子細辛湯
などなど、実践的な処方が集まっているので、もっと広がって活用できればと考えています。
まとめ
まだ抗生物質もワクチンもなかった時代、日本の伝統医学である漢方医学の主要な対象は感染症でした。
しかし漢方薬が重篤な感染症にも有効であるという事実は広くは知られていないと思います。
ですが緊急事態宣言も発出された今だからこそ、漢方の現代医学とは異なった感染症へのアプローチで新型コロナウイルスの対策をすべきではないでしょうか。