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ワクチン接種しますか? ワクチンの歴史と心構え
ワクチンは特定の感染症に対する免疫力を高める上で最も効果的な方法です。
ワクチンによって免疫を付ける行為を予防接種といいます。
ワクチンには、不活化ワクチン、生ワクチン、メッセンジャーRNAワクチンの3種類が存在します。
不活化ワクチンは微生物の一部を精製し免疫を増強するような成分とともに投与することによって、この微生物に特化した免疫を誘導するものです。
生ワクチンは、毒性を弱めた病原体を投与する事により、病気を起こすことなく免疫力を付けさせる方法です。
メッセンジャーRNAワクチンは、ウイルスの表面のたんぱく質を解析してその遺伝情報メッセンジャーRNAを合成してワクチンとして摂取し、それを体内で免疫細胞が補足し記憶させ、その結果、本物のウイルスが侵入した際に異物(病原体)と速やかに判断し体外へ排除させます。
今回の新型コロナウイルスワクチンの多くがこれにあたります。
ワクチンを接種するのは抵抗があると考えている人も多いかもしれません。
ですが、本来のワクチンの役割は、
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自分がかからないために
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もしかかっても症状が軽くてすむために
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まわりの人にうつさないために
1と2はワクチン接種を受ける本人のための目的です。
3は自分のまわりの大切な人たちを守るという目的です。
近いうちに新型コロナワクチンの順番が回ってきます。
その時にあなたはどうしますか?
心の準備という意味で、今回は「ワクチンとは何か?」を考えてみたいと思います。
ワクチンの始まり
人類とワクチンの歴史は非常に古く、今から200年前に遡ります。
イギリスの酪農地帯で牛痘(ぎゅうとう)と呼ばれる伝染病が流行しました。
牛痘は、牛痘ウイルスが原因となる牛が感染する病気です。
この牛痘ウイルスはヒトに感染することもありましたが、軽症で治癒することが知られていました。
また同時期に、似たような疱瘡(ほうそう)が皮膚にできる感染症が人間の間でも流行していました。
それが天然痘です。
天然痘ウイルスに感染すると皮膚症状や発熱、呼吸不全などの症状を引き起こし、重篤な場合には死に至ることから、人々に恐れられていました。
当時、牛痘に感染した牛の乳しぼりをしていた搾乳婦の多くは、軽症ではあるものの牛痘に似た皮膚症状が手にできていることがわかっていました。
この搾乳婦の間では牛痘にかかったことのある人は天然痘にはかからないという噂があり、この噂を真剣に研究した医師が、イギリス田舎町の開業医エドワード・ジェンナーです。
1796年、ジェンナーは8歳の男の子に牛痘ウイルスを接種した後、天然痘ウイルスを続けて接種する実験を行いました。
その後、この少年は天然痘の症状を発症することはありませんでした。
これによって牛痘に感染した人は天然痘には感染しないことが明らかになりました。
これが、人類にとって最初のワクチンの発見です。
日本では1849年にオットー・ゴットリープ・モーニッケが天然痘の痘苗を輸入し、以後本格的に天然痘の予防接種が全国に広まりました。
1909年には天然痘の予防接種法が施行され、1948年には予防接種法が制定されて、天然痘以外の感染症でも予防接種が義務化されていきました。
記憶に新しいところですが、日本でも1987年までの11年間だけでしたが、小中学校でインフルエンザワクチンの集団接種が義務づけられていて、大半の子どもが学校で接種を受けていた時代がありました。
この集団接種が始まるきっかけは、1957年の新型インフルエンザ(アジアかぜ)の大流行にさかのぼります。
約300万人が感染し、約8000人(推計)が亡くなりました。
このときの教訓から、1962年から子どもへの接種が推奨されるようになり、1977年には予防接種法で小中学生の接種が義務化されました。
ですが、ワクチンを接種した後に高熱を出して後遺症などの問題があり、国に損害賠償を求める訴訟が相次ぎ、国が敗訴するケースも少なくありませんでした。
こうした社会情勢を背景に政府は法律を改正し、1987年に保護者の同意を得た希望者に接種する方式に変更され、 1994年には、打っても打たなくてもいい任意接種に変わりました。
同時にワクチンそのものの効果を疑問視する声も広がり、かつて100%近かった小中学生の接種率は、90年代、数%にまで落ちていきました。
子どもの集団接種がなくなった後に起きたこと
小中学生のほぼ全員が毎年インフルエンザワクチンを打っていた時代は、年間の学級閉鎖の日数は1.3日程度でしたが、そうでなくなった時代の変化したことにより、20.5日と増えた小学校もありました。
また高齢者施設でインフルエンザが流行し、入所者が相次いで亡くなったり、インフルエンザから脳症になって亡くなる子どもが増えたことなどがマスコミで相次いで報じられるようになり、そうした状況から、この学校でも1999年からインフルエンザワクチンを打つ人が増え始めました。
ワクチンは恐いもの?
ワクチンは、重症化することのある病気(感染症)をあらかじめ予防する有効な手段です。
しかし、この予防接種の後に、熱が出たり、機嫌が悪くなったり、はれたり、しこりがでたりすることがありますが、そのほとんどが2~3日で自然に消えてしまいます。
このような好ましくない変化を副反応と言います。
副反応というと「とてもこわいもの」とか、「副反応がこわいから予防接種を受けたくない」と思っている人がいるようですが、必ずしもそうではありません。
そのほとんどがいわば生体の反応である一時的な症状で、本当にかかったリスクに比べると軽く、重度の副反応はきわめてまれです。
もし副反応が起こったときは
予防接種を受けたあと、副反応がでたと思ったときは、接種した医師にご相談してください。
また、定期の予防接種による副反応で医療費を要した場合、後遺症が残った場合、死亡した場合などは国がその被害を救済することになります(予防接種法による救済制度)。
任意の予防接種の場合や予防接種法で定められた予防接種を定期の接種の年齢枠以外で受けて健康被害が生じた場合は、薬剤による副作用と同じ扱いになり、医薬品医療機器総合機構(PMDA)という組織によって救済されます。
今回の新型コロナウイルスでも、ワクチンの副作用で健康被害が生じた場合に被害者の医療費などを補償する制度が作られています。
まとめ
天然痘やインフルエンザのパンデミックをはじめ、これまで積み重ねてきた経験から、人類が獲得した有効な予防の手立てが、ワクチンの接種であるといえます。
さてあなたにワクチン接種の順番が回ってきた際に、あなたはどうしましか?
自分の身はもちろん、まわりの人の健康や命を守るためにも、ワクチン接種を心がけますか?