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東洋医学から見る抜け毛の原因と効果的な漢方薬について

抜け毛と漢方薬

 

髪に艶やコシがなくなってくると、以前より髪の毛が少なくなったかなと感じることがありますよね。

そうなってくると、気になるのが抜け毛です。

 

抜け毛の原因は様々なので、原因を特定することは難しく、どのように対処していいのかわかりませんよね。

 

この記事では、まずヘアサイクルについて解説し、抜け毛のメカニズムをご理解いただきます。

その後、東洋医学からみる抜け毛の主な原因とその改善方法を見ていきます。

 

抜け毛は単独で出てくる症状というよりも、その他の症状も伴っているケースが多くあります。

東洋医学では主たる原因があって、その結果として抜け毛などの症状が出てくるのだと考えられています。

 

ですから、抜け毛だけに着目するよりも、その他の症状もあわせて考えることで、ご自分に合った対処方法が見つかるのではないでしょうか。

 

まずは、ヘアサイクルについて見ていきましょう。

 

 

 

ヘアサイクルによる正常な抜け毛

 

髪の寿命

 

抜け毛が多いと気になってしまいますが、正常なヘアサイクルの中でも抜け毛は発生します。

 

なぜなら、髪には寿命があり、成長を終えた髪の毛は抜けやすい状態に移行するからです。そして、しばらくすると再び新しい髪の毛が生えてきます。

 

このようなサイクルによって髪の毛は成長していきます。

ヘアサイクルには、成長期、退行期、休止期があり、このサイクルを繰り返すことで髪の毛は生え変わっていくのです。

 

成長期には毛乳頭細胞が髪の毛の元となる毛母細胞に指令を出し、毛母細胞が分裂・増殖し、髪の毛が作られていきます。

 

作られた髪の毛は上部へと押し上げられていくことで伸びていき、その成長は通常2年から6年続きます。

また、髪の毛全体に占める成長期の割合は約9割ほどです。

 

成長期が終わると、次の段階である退行期へ移行します。

退行期は通常2週間から3週間と言われ、その間に毛乳頭細胞が退縮をしはじめ、毛母細胞の分裂が止まります。

そして、髪の毛の成長も止まり休止期を迎えるのです。

 

休止期に入った髪の毛はいつ抜けてもおかしくない状態であり、通常3か月から4か月ほど続きます。

この休止期に入っている髪の毛は全体の約1割程度です。

 

また、一般的に正常なヘアサイクルは男性で3年から5年、女性で4年から6年と言われています。

しかし、ヘアサイクルが乱れることにより、休止期の髪の毛が多くなると、抜け毛や薄毛の原因になってしまいます。

 

ヘアサイクルの乱れの原因は様々なものがあり、ストレスや過渡の飲酒、喫煙などの生活習慣をはじめとしたものであったり、男性ホルモンの作用や血行不良、加齢、遺伝などがあったりと、様々ものがあげられます。

 

同時にすべてに対処することは難しく、まずは、生活習慣から見直していくことが簡単に取り組むことのできる対処方法になるかと思います。

生活習慣の見直しは髪の毛だけでなく、その他の不調に対する改善にもつながります。

 

では次に、東洋医学の観点から抜け毛の原因について探っていきましょう。

 

 

 

東洋医学からみる抜け毛の原因と効果的な漢方

 

抜け毛の原因と効果的な漢方薬

 

東洋医学では抜け毛の主な原因に「腎(じん)」の機能低下「血(けつ)」の不足「津液(しんえき)や熱」の過剰があると考えられています。

 

以下ではそれぞれの原因と症状に加えて、改善のために使われる漢方薬についても見ていきましょう。

 

 

腎虚(じんきょ)による抜け毛

 

東洋医学では、髪は「腎の華」と言われ、腎と髪の毛は密接な関係にあります。

 

腎とは西洋医学の腎臓とは少し異なり、「精(せい)」を貯蔵する機能を持ち、ホルモンや泌尿器、生殖、免疫の働きを持つ機能全般のことを指しています。

 

腎が持つ精のことを腎精といい、腎精は発育、生殖、老化に関わり、腎の働きが衰えることで、腎の担っている器官である髪、歯、耳、足腰、脳に影響がでてくるのです。

 

精とは生命活動の根本物質のことを指し、生まれたときから持っている精を「先天の精」、飲食物から得られるものを「後天の精」と言い、この二つが合わさったものが腎精となります。

 

腎に蓄えられている腎精が不足した状態を「腎虚(じんきょ)」と言い、腎虚の症状としてあらわれるのが、抜け毛の増加、頻尿、性欲の低下などです。

 

腎虚を改善する代表的な漢方薬には「八味地黄丸(はちみじおうがん)」「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」などがあります。

 

また、腎には腎陽と腎陰があり、腎陽は身体を温めたり、機能させたりするエネルギーで、腎陰は身体を潤わせ、栄養を与えます。

 

この二つの陰陽バランスが崩れ、陽が少ない状態を腎陽虚、陰が少ない状態を腎陰虚と言います。

 

腎陽虚は熱不足の状態で、冷え性や食欲低下、むくみ、足腰のだるさなどといった症状を引き起こし、腎陰虚は水(津液)の不足により、のぼせ、寝汗、めまいなどの症状があらわれやすくなります。

 

八味地黄丸は主に腎陽虚に対応し、腎陰虚には六味地黄丸(ろくみじおうがん)などが使用されます。

 

 

血虚(けっきょ)による抜け毛

 

東洋医学では髪の毛は血の余りと考えられています。

血は身体の基本要素である、気・血・水(津液)の一つで、全身に栄養を与える滋養作用と精神的に安定させる寧静作用(ねいせいさよう)があります。

 

滋養作用により筋肉や骨格は成長し、肌や髪には栄養が与えられることで潤いを保つことができるのです。

 

このように、血は重要な役割を担っています。

しかし、脾胃(ひい)の機能低下や栄養不足により血が不足した状態では、髪にも栄養が届けられず、抜け毛の他に髪が乾燥して艶がない、などの症状も見られることになります。

 

血の不足した状態を血虚といい、前述の症状の他に、顔の赤みが失せたり、不整脈があったり、爪の変形が生じたりといった症状も見られることがあります。

 

以上のような症状を引き起こす血虚を改善するためには、「四物湯(しもつとう)」や「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」などの補血作用のある漢方薬が使われることになるのです。

 

 

津液(しんえき)熱の過剰による抜け毛

 

津液は気・血と同様に生命活動を維持するための重要な物質です。

なぜなら、津液が身体の隅々までいきわたることで、肌や髪はつややかになり、身体の各組織は潤いを保つことができるからです。

 

かといって津液が過剰になってしまっては、不調をきたしてしまいます。反対に不足した場合も同様です。

 

津液が過剰な状態を「内湿(ないしつ)」、不足した状態を「内燥(ないそう)」と言い、内湿が続き熱と結びついた状態を「湿熱(しつねつ)」と言います。

 

湿熱により熱を帯びた状態では体内の陽が過剰になり、よく汗をかくようになります。

また、熱は上部に上がりやすいため、顔のほてりや吹き出物などの炎症が生じやすくなります。

 

さらに、頭皮の環境も悪化し、皮脂により毛穴がふさがり、抜け毛が多くなります。

 

このような症状を伴う湿熱を改善のために使われる漢方薬は「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」や「瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)」です。

 

 

 

まとめ

 

以上、抜け毛について見てきました。

正常なヘアサイクルにおける抜け毛は問題ないものの、様々な原因からヘアサイクルが乱れ、抜け毛が多くなっている場合は対処の必要があります。

 

東洋医学から見る抜け毛の原因として、腎の機能低下、血の不足、津液や熱の過剰が考えられ、それぞれの改善をはかるための漢方薬をご紹介してきました。

 

抜け毛は単独でおこるよりも、他の症状を伴う場合が多いので、抜け毛以外のご自分の症状もあわせて把握することで、正しい対処法が見つけやすくなるのではないでしょうか。

 

また、漢方薬は副作用が少ないと言われていますが、他にも薬を服用している場合などは、ご自分だけで判断せず、まずはかかりつけのお医者さんや漢方薬局に相談してみることをおすすめします。

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