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過食症に効果的な自律神経の乱れを整える鍼灸治療

過食症の治療

 

過食はお腹いっぱい食べても満足できず、どんどん食べてしまう摂食障害という病気です。

過食症の中には「過食を繰り返す症状」と「過食嘔吐の症状」があり、拒食症を含む摂食障害は、若い女性の5人に一人が悩んでいるとも言われています。

 

家族にすら相談ができずに、一人で深刻に悩みを抱えるケースも少なくありません。

心の弱い人がかかる病気というイメージが多いですが、ストレスからくる自律神経系の乱れから起こると言われています。

 

自律神経が乱れることにより、やる気が起きない、うつ症状がある、朝からだるい、疲れやすい、いつでも眠い、イライラする等の症状が起きます。

その結果として食欲をコントロールできない過食状態になります。

 

過食症なら食事量を減らし、拒食症なら食事量を増やせばよいといった単純な病気ではありません。

正しい知識を得て、誰にでも起こる病気であることを理解し、正しい治療を行いことが大切です。

 

今回は過食症の症状と治療法についてご紹介します。

 

 

 

過食症の症状と治療法について

 

 

過食症の症状

 

肥満

嘔吐や下剤の乱用を伴わない過食症では、短期間で大幅に体重や体脂肪が増え、肥満を引き起こします。体重が10㎏以上増加する場合も珍しくありません。

 

脂肪肝、糖尿病、心筋梗塞など

過食症の場合は食べる量はもちろん、カロリーの高い食品を大量に取ってしまう傾向があります。そのためコレステロール値や中性脂肪が上昇したり高血圧になりやすく、心筋梗塞や糖尿病、脂肪肝などを引き起こしやすくなります。

 

浮腫み、肌あれ、口内炎、薄毛(脱毛)

過食嘔吐を繰り返すと、強い栄養失調になります。鉄の不足や貧血を起こすと、髪の毛が急激に抜けたり、口内炎や肌あれなどを引き起こします。また嘔吐により、カリウムなどカラダに必要なミネラルが不足し、浮腫みの原因にもなります。

 

食道炎症、 胃腸不良、歯が溶ける

嘔吐や下痢を繰り返すと、逆流する胃酸によって食道が炎症を起こしたり、歯のエナメル質が溶け出して虫歯の原因になります。腸の機能低下が起きるなどの症状が起きます。

 

生理不順、無月経

拒食症から過食嘔吐に転じるケースがほとんどのため、低体重を維持するケースが多く、強い栄養失調から生理不順や無月経になる場合がほとんどです。無月経が長期に続くと、子宮や卵巣が委縮し、自力で月経再開が難しくなる場合もあるため、注意が必要です。不妊症の原因になることもあります。

 

抑うつ状態、反社会的行為、自傷行為

過食を繰り返す自分に激しい自己嫌悪をいだくため、精神不安やうつ病におちいったり、ストレスから逃れるために万引きやその場限りの異性交遊などを衝動的に行ってしまうケースがあります。抑うつ状態が続くと自殺に至る場合、注意が必要です。

 

 

 

過食症と自律神経について

 

過食は、ストレスからくる自律神経の乱れが、大きく関与していると考えられてます。

自律神経系は交感神経と副交感神経に分かれ、交感神経は、物事に集中したり、緊張したり、スポーツ観戦などで興奮している時に優位にはたらきます。

副交感神経は、食後ゆったりとしている状態や森林浴などでリラックスしている状態に優位にはたらきます。

 

通常、この両者のバランスは保たれているのですが、ストレスが加わると交感神経が優位になり、副交感神経のはたらきが低下していきます。

消化器系が活動すると、副交感神経はたらきはじめるため、「食べる」ことで、自律神経のバランスを保とうとします。

 

このように無自覚的に食べるといった行動は、自律神経を整える一種の防衛反応となっているのですが、この行動が常態化することで過食となって現れます。

 

 

 

自律神経を整える鍼灸治療とは

 

自律神経を整える鍼灸

 

鍼灸治療は、自律神経を整える効果のある治療法の1つです。

薬のように副作用もなく、自分で自律神経をコントロールできるように促してあげる治療法でもあります。

 

もともと、鍼灸治療は馴染みのない方がほとんどかもしれません。また、肩こりやひざの痛みなど、お年寄りや痛みに対しておこなう治療だと思われる方も多いのではないでしょうか。

しかし、鍼灸治療は、本来、自律神経の働きを意図的に整えることができる治療法です。
WHO(世界保健機関)の伝統医学部門、鍼灸に関する報告書の「臨床試験によって有効性が証明された」という疾患・症状には、うつ症状、頭痛、頚部痛(首の痛み)、腰痛、吐き気、低血圧、高血圧などが明記されています。

 

また、頭痛に対しては、日本頭痛学会のガイドラインの中で最も効果のある治療法の一つとして鍼灸治療があげられています。

 

 

 

自律神経を整える鍼灸の治療法

 

自律神経を整える鍼灸治療は、まず、あなたの身体の症状に対してアプローチをかけていきます。

あなたに肩こり・腰痛などがあれば、それらを改善するだけでも、他の自律神経の症状改善に役立ちます。

 

また、お腹、腰などに鍼灸治療をしますと、子宮・卵巣への血流量が増えることが分かっています。

これにより生理周期の安定化、ホルモンバランスの正常化に繋がり、同時に自律神経の乱れの改善も期待できます。

 

ただ、これだけでは自律神経失調症の根本改善に繋がりませんので、手足のツボに鍼灸治療をおこないます。

鍼灸治療は、身体の体性自律神経反射という反応を使い、脳に働きかけ、自律神経のバランスを整える作用があります。

 

人の身体は、身体の表面に刺激を加えると、感覚や感情が起こり、同時に反射反応が起きるようになっています。

鍼灸刺激も刺激の一つですので、鍼灸治療を受けることにより、反射反応が起きます。

 

人間の体には、外界や体内からの何らかの刺激を受け取り、情報として利用できるように変換する仕組みが備わっています。

鍼で刺激することで、刺激情報が脊髄を通り脳に伝わります。

 

伝わる場所は、脳の生命と関係する脳幹や、自律神経と関係する視床下部、扁桃体などを含む大脳辺縁系で、鍼刺激を受けた脳幹からは、ドーパミン、GABAなどの分泌がされ、衝動・欲望が抑制され、落ち着きがでるようになるとされています。

 

また、大脳辺縁系からストレスを緩和するセロトニン、やる気を出すノルアドレナリン、痛みを止めるβ―エンドルフィンなどの物質が放出されることが分かっています。

 

鍼灸治療により、これらの物質が放出され、生理周期の安定化・ホルモンバランスを整える、内蔵機能の改善、不安感、抑鬱感などの情動の改善ができます。

 

また、鍼灸治療は脳血流量を増やすことが知られています。

脳血流量が増えることにより、自律神経に酸素を与えることで緊張感を緩めることができます。

この作用により、興奮している自律神経自体と生理周期に働きかけ、その興奮を抑え、働きを正常化でき、自律神経の乱れの根本改善が期待できます。

 

次に自律神経を整える効果のあるツボについてご紹介します。

 

 

 

自律神経を整える効果のあるツボ

 

百会・内関

 

①百会(ひゃくえ)

 

百会というツボは、頭のてっぺんにあるツボで、全身にある経絡が交わるところで、全ての臓器と繋がっているとされています。そのため、全身的に自律神経のバランスを整え、活性化してくれます。

百会は、不眠、不安が強い時、症状が長期間続いている時に効果がある、一番よく使用するツボです。

 

 

②内関(ないかん)

 

内関は、手の平側で、手首のシワから指4本分上に位置するツボで、自律神経失調症の中でも、うつ症状、不眠症、車酔い、あがり症などの症状によく使われています。

内関を刺激することで精神安定をもたらし、普段から冷静さを保てるようになります。また、百会と合わせて使用することで相乗効果が生まれます。

心配性な方、トラウマがフラッシュバックしてしまうような方には、普段からここに極短い貼るタイプの鍼を貼っておくこともあります。また、不安が強い方、寝つきが悪い方には、寝る前に自分で刺激するといいでしょう。

 

 

身柱・中かん

 

③身柱(しんちゅう)

 

身柱は、肩甲骨の間、背骨の中央部に位置するツボで、子供の夜泣きやかんむし、ヒステリー、うつ病をはじめとした精神的な症状が強い時に効果のあるツボです。

身柱は、自分ではなかなか触ることができないツボですが、寒い冬や、真夏に冷房で冷えすぎた室内にいる時には、この部分にホッカイロをあてたり、ベストのような服を重ねたりして温めてあげる、もしくは冷やさないようにしてあげると自律神経の乱れが緩和されます。

 

 

④中脘(ちゅうかん)

 

中脘は、みぞおちとおへそを結んだ線の中央に位置するツボで、本来は、胃腸の調子を整えてくれるツボです。
そのため、体質的に胃腸の調子が崩れ自律神経が乱れやすい方、食欲不振がある方などに効果があり、胃腸の働きを整え、消化を助けてあげることで自律神経のバランスを正常な状態へ戻してくれます。

胃腸など、消化器は、自律神経に支配されているため、自律神経失調症にお悩みの方には誰でも当てはまるような治療のツボとなります。

 

 

 

 

西洋医学での過食の治療法

 

西洋医学では心理療法、行動制限療法、認知行動療法、再養育療法、などが多く用いられています。過食嘔吐などによる身体合併症に対する身体医学療法や、対症的な向精神薬の併用などもおこなわれます。

 

 

その他の過食症の原因 機能性低血糖症

 

糖尿病は、インスリンが分泌できない、または効きが悪くなってしまうために血糖値が高くなってしまう病気です。

血糖値が高いままでいると、全身の毛細血管が傷つき、網膜症や腎障害、神経障害などの重篤な合併症を引き起こすことが知られています。

 

その反対が機能性低血糖症で、インスリンをたくさん分泌する、または効きが良すぎるために血糖値が乱高下する、または低い状態でとどまってしまう病気です。

その結果、やる気が起きない、うつ症状がある、朝からだるい、疲れやすい、いつでも眠い、イライラする等の症状が現れます。

 

これらの症状は、低血糖症が原因で起こる典型的な症状です。

低血糖症では内分泌系や自律神経系の混乱を招き、上記のような『精神的』にも『肉体的』にもさまざまな不快な症状を引き起こします。

 

 

 

まとめ

 

厚生労働省は、摂食障害を難治性疾患としています。

過食も拒食症も摂食障害で、過食と拒食をくりかえすパターンが多いようです。

以前は、過食は「甘えや我がままくる 」などと言われていましたが、そのような単純なものではありません。

本人や家族の大変さを少しでも軽減し、快方に向かわせる一つの手段として心身を安定させる鍼灸治療にトライしてみてはいかがでしょうか。

 

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