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東洋医学から学ぶ 拒食症と漢方療法

拒食症の症状と効果が期待できる漢方薬

 

拒食症は神経性無食欲症とも言いますが食欲が無いわけではなく、時には過食になることもあります。

近年拒食症のことを「神経性やせ症」といった呼び方をすることもあります。

拒食症も過食症も心身両面からケアしていく必要があります。

 

 

拒食症の症状

拒食症の人は、他人から見ると明らかに痩せすぎと思えても、本人は異常とは感じていません。

むしろ、もっと痩せたいと思い、痩せることは美人の条件と思い込んでいます。

しかし、痩せるにしたがって筋力は低下し、低血圧や低体温、便秘や月経異常、慢性的な疲労感におそわれます。

また、体の表面にも危険を知らせる変化があらわれます。

下肢がむくんだり、背中に濃い産毛が生えてきたり、手のひらや足の裏が黄色くなることもあります。

病院で血液の検査を受けると、白血球の減少や肝機能異常などが見つかることも多いようです。

 

 

拒食症に効果が期待できる漢方薬

漢方でのケアには、次のような漢方薬がよく用いられています。

 

抑肝散(よくかんさん)

漢方では「肝(かん)」が高ぶると、怒りやイライラが現れると考えます。

「抑肝散」はこの「肝」の高ぶりを抑えることから名づけられた漢方薬です。

配合されている生薬は、当帰(とうき)、 釣藤鈎(チョウトウコウ)、川芎(せんきゅう)、蒼朮(そうじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、柴胡(さいこ)、甘草(かんぞう)です。

 

・加味逍遙散(かみしょうようさん)

虚弱体質を改善しリラックスさせる作用があります。

配合されている生薬は柴胡(さいこ)、芍薬(しゃくやく)、当帰(とうき)、茯苓(ぶくりょう)、蒼朮(そうじゅつ)、山梔子(さんしん)、牡丹皮(ぼたんぴ)、甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)、薄荷(はっか)です。

 

・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

不安神経症、不安感などに使われます。

配合されている生薬は、半夏(はんげ)、茯苓(ぶくりょう)、厚朴(こうぼく)、蘇葉(そよう)、生姜(しょうきょう)です。

 

・柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)

神経過敏な人で虚弱な人が対象になります。

配合されている生薬は、柴胡(さいこ)、 黄芩(おうごん)、栝楼根(かろこん)、桂皮(けいひ)、 牡蛎(ぼれい)、 甘草(かんぞう)、 乾姜(かんきょう)です。

 

・十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)

胃腸の働きを高め栄養分の消化吸収をはかります。

配合されていっる生薬は、人参(にんじん)、黄耆(おうぎ)、白朮(びゃくじゅつ)、

茯苓(ぶくりょう)、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、地黄(じおう)、川芎(せんきゅう)、桂皮(けいひ)、甘草(かんぞう)です。

 

現代医学での治療法

現代医学では、栄養補給をおこないながら認知行動療法などの精神療法がおこなわれます。

拒食症の患者は本人には病気という意識があまりないため、家族やまわりの人の協力が欠かせません。

薬物療法では抗うつ剤、抗精神病剤、食欲増進剤などが用いられます。

 

*認知行動療法とは、物の見方のゆがみが原因になっているととらえ、そのゆがみを自ら修正することを手助けする精神療法のひとつです。

 

拒食症は、薬物療法だけでは完治は難しく、三食規則正しく食べる習慣をつけることが大事です。

また、偏った考え方を改善するため、場合によってはカウンセリングを受けることも必要です。

発症のきっかけのほとんどは自己流で始めたダイエットで一時的に体重が減り、まわりの人にうらやましがられ、「痩せることは自分を認めてもらえること」と脳にインプットされた時点からのようです。

その結果、少しでも食べ過ぎると罪悪感を抱いてしまったり、逆に無理なダイエットの反動で過食になったりして、心も体も病んでいきます。

摂食障害は、学業や仕事の能率が悪くなり、日常生活や人間関係にも支障がでます。

拒食と過食の繰り返しで病気が長期化することも少なくありません。

 

ゆるやかに改善する

漢方では、拒食症も過食症もストレスが原因の肝臓の機能の衰弱と考え、まずは十全大補湯などで補血し、逍遙散や抑肝散を長期に連用して肝臓を強めるようにするのがおすすめです。

この病気は、ストレスに弱いというのが最大の要因です。

本人はもとより、まわりの人も焦らず、漢方薬などを用いて緩やかに改善しましょう。

カウンセラーなどにじっくり話を聞いてもらううちに徐々に安定してくることもあるので、あらゆる角度から治療を試みましょう。

ともあれ、生きる基本は食べることだという認識が大切です。

生活を規則正しくして、食事時間にはテーブルにつ、少しだけでも食べるくことから始めましょう。

低体重や低栄養が長引くと、最悪の場合は死にいたることもあるので、なるだけ早めに対処しましょう。

 

 

まとめ

拒食症も過食症も、どちらにしても摂食障害を治す特効薬はありません。

いったん摂食障害になると、食べることの楽しみやありがたさを感じるには時間がかかりますが、漢方薬を用いながら少しずつ正常な食生活に戻していきましょう。

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