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東洋医学から学ぶ 息切れの改善と漢方

息切れを改善するには

 

健康な人でも激しい運動をしたり、坂道や階段を駆けあがると、息切れすることがあります。

息切れには生理的なものと病的なものがありますが、激しく動いたわけでもないのに息切れがたびたび起こるようなら、心臓や肺、脳などに何か異常が起きているからかも知れません。

息切れの原因によって治療方法も違ってきますが、慢性的な息切れは漢方薬や薬膳でも改善することができます。

 

 

肺の働きについて

肺は新鮮な「気」を体内に取り入れて、汚れた「気」を外に出す働きをします。

肺の働きが弱まると、呼吸の異常や咳や痰が出るなどの症状があらわれます。

鼻づまりや鼻水などのトラブルやにおいが分からないなどの嗅覚異常も肺の働きの低下から起こります。

また、肺は体内の水分代謝を助ける働きもあり、肺が弱ると肌が乾燥したり、つやがなくなります。

その他にも特に考えられる病気もなく息切れの症状が気になるようなら、過労やストレス過剰から自律神経が乱れて呼吸が浅くなり肺に十分な酸素が送られていないからかもしれません。

深呼吸にはあらゆる体調不良を改善する働きがあります。

朝の散歩や緑の多い場所での散歩で肺を元気に保ちましょう。

 

・肺が弱った時の食材

白い食材が肺の働きを活発にすると言われており、白菜、ゆり根、もやし、山芋、梨などが効果的です。

また、ネギやショウガ、サンショウなどの辛いものを取り入れるのも肺の働きを活発にします。

これらの食材を使った薬膳を日々の食事に取り入れて肺を元気にすると、息切れも改善できます。

 

 

息切れに効く漢方薬

※重篤な病気ではない慢性的な息切れには、次のような漢方薬が効果的です。

 

・九味檳榔湯(くみびんろうとう)

息切れ、動悸、むくみ、下肢の倦怠感、更年期障害、関節のはれ、関節痛などに効果があります。

含まれる生薬は、檳榔子(びんろうじ)、甘草(かんぞう)、橘皮(きっぴ)、桂皮(けいひ)、厚朴(こうぼく)、呉茱萸(ごしゅゆ)、紫蘇葉(しそよう)、大黄(だいおう)、茯苓(ぶくりょう)、木香(もっこう)生姜(しょうきょう)です。

 

・柴胡軽視乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)

息切れ、動悸、寝汗、不眠症、冷え性、口の乾き、更年期障害、気管支炎、神経症、貧血、風邪に効きます。

含まれる生薬は、黄芩(おうごん)栝楼根(かろこん)乾姜(かんきょう)甘草(かんぞう)桂皮(けいひ)柴胡(さいこ)牡蛎(ぼれい)です。

 

・炙甘草湯(しゃかんぞうとう)

息切れ、動悸、手足のほてり、脈の乱れ、疲労などに効果があります。

含まれる生薬は阿膠(あきょう)桂皮(けいひ)炙甘草(しゃかんぞう)生姜(しょうきょう)地黄(じおう)大棗(たいそう)人参(にんじん)麦門冬(ばくもんとう)麻子仁(ましにん)です。

 

・味麦地黄丸(みばくじおうがん)

息切れ、かすみ目、からぜき、しびれ、むくみ、排尿困難、腰痛に効果があります。

含まれる生薬は、五味子(ごみし)、山茱萸(さんしゅ)、蒼朮(そうじゅつ)、白朮(びゃくじゅつ)茯苓(ぶくりょう)です。

 

・苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

息切れ、動悸、のぼせ、ふらつき、めまい、神経症、立ちくらみ、耳鳴りに効果があります。

含まれる生薬は、茯苓(ぶくりょう)白朮(びゃくじゅつ)桂皮(けいひ)甘草(かんぞう)などです。

 

息切れの原因となる主な疾患

・慢性閉塞性肺疾患(COPD)

喫煙習慣が原因の疾患で、せきやたん、息切れが続くようになります。

肺の機能が徐々に低下し症状が進むと、呼吸不全になることもあります。

 

・気管支喘息

せき、たん、ゼイゼイ、ヒューヒューという呼吸音(喘鳴・ぜんめい)があらわれ、息が苦しくなる発作をおこします。

原因は慢性的な気管支の炎症やアレルギー性のもので、気道が過敏になって狭くなり症状だあらわれます。

 

・貧血

体内の酸素不足が原因で、息切れやめまいなどの症状が起こります。

鉄分不足などで血液中の酸素濃度が薄くなるのが主な原因です。

 

・更年期障害

閉経前後の約10年間は、女性ホルモンの減少から自律神経のバランスが崩れて、息切れ、動悸、めまい、ほてり、のぼせ、肩こり、イライラ感や不安感など、心と体にさまざまなトラブルが生じます。

 

*その他にも、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)心不全、狭心症、心筋梗塞、糖尿病、脳出血、不整脈過換気症候群(過呼吸症候群)、肥満症なども息切れを伴います。

また、運動不足で肥満気味になると、筋力が落ちて心臓の働きも弱り、少しの運動で息切れをしてしまいます。

適度な運動を続けて肥満を解消することで、息切れも防げます。

ウォーキングやラジオ体操などの有酸素運動を30分程度、週に3日以上おこない、1日の摂取カロリーを1600kcal~1800kcalを目標にすると、少しずつ減量できます。

 

 

まとめ

息切れや動悸は、時間に追われる人や仕事のプレッシャーなどのストレスを常に感じている人に発生しやすいようです。

無理をしてでも好きなことをする時間を持ち、十分な睡眠をとるようにしましょう。

また、最近体重が増えた人で息切れが気になる場合は、適正体重に戻すと息切れは解消できるはずです。

しかし、中には漢方薬や運動だけでは改善できない病気が潜んでいる場合もあるので、専門の医療機関で検査をしてもらいましょう。

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