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東洋医学から学ぶ 関節痛に効果的な漢方
関節痛の予防と改善
関節痛の原因は様々ですが、スポーツなどでの外傷による影響や加齢による筋力低下などが考えられます。
65歳以上の高齢者の約8割が膝、肘、股関節などに痛みを感じているようですが、これは加齢に伴い軟骨がすり減り、関節が変形する変形性膝関節症が増えているからです。
関節痛で最も多いのがこの変形性膝関節症ですが、関節リウマチなどの病気の場合もあるので、原因を明確にすることが大事です。
変形性膝関節症と関節リウマチの違い
変形性関節症がおこりやすいのは、立ったり座ったりするときに大きな負荷がかかるひざです。変形性関節症の痛みは、関節の軟骨がすり減ることで徐々に悪化していきます。
関節リウマチも変形性関節症と同じように痛みを伴いますが、違いは関節リウマチは自己免疫疾患であることです。
手足の指のこわばりや腫れ、微熱や倦怠感から関節リウマチに気づくことが多いようです。
どちらも適切な治療をすることで、悪化を防ぐことができます。
西洋医学と東洋医学の関節痛の治療について
関節痛の緩和治療をおこなう際には、西洋医学を取り入れる場合と東洋医学を取り入れる場合がありますが、治療方法は微妙に違います。
西洋医学では、炎症や疼痛を軽減するために抗炎症薬を用いたりホットパックや電気機器を使った温熱療法や筋力トレーニングをおこないます。
東洋医学では、局部の気血の流れが滞っていることから痛みが生じたものという考え方で、その人の全身症状を重視し、生薬を処方し気、血、水の流れをよくします。
漢方からみる関節痛の原因と効果的な漢方薬
漢方的にみると、関節痛は湿気や冷え、ストレスなどによって気や血、水が体内をめぐりにくくなっている「不通則痛」と、栄養物質が不足している「不栄則痛」が原因です。
不通則痛でおこる症状は「関節の腫れと痛み」「足のむくみ」「疲労感」などです。
このタイプには、九味檳榔湯(くみびんろうとう)が適しています。
九味檳榔湯(くみびんろうとう)に含まれる生薬は、檳榔子、厚朴、桂枝、橘皮、蘇葉、甘草、大黄、木香、生姜です。
不栄則痛でおこる症状は「しびれをともなう関節痛」「痛みの慢性化」「筋力の低下」などです。
このタイプには疎経活血湯(そけいかっけつとう)が適しています。
疎経活血湯(そけいかっけつとう)に含まれる生薬は、当帰、地黄、川芎、牛膝、羌活、防風、芍薬、当帰、茯苓、竜胆、威霊仙、白芷、生姜、桃仁、白朮、陳皮、防已、甘草です。
その他にも葛根加苓朮附湯(かっこんかりょうじゅつぶとう)、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)などが関節痛に効果的です。
漢方薬にも副作用があるの?
西洋薬よりは副作用が少ないとはいえ、副作用はあります。生薬の種類によっても違いますが、多くの漢方薬に配合されている甘草には、グリチルリチンという成分が含まれています。このグリチルリチンにはむくみや手足のしびれこむら返りの原因になることもあります。
他にも生薬が体質に合わないと、じんましんが出たり胃の不快感などがおこる場合もあります。
最も危険なのは市販の漢方薬を複数飲むことです。
一部の成分が過剰摂取になり好く作用がおこるがことがあります。
関節の痛み方に注意!
急に強い症状が現れた場合
足のつま先に痛みや腫れがあらわれたり、高尿酸血症の経験があったりする場合、痛風が疑われます。発作の際には尿酸値が高いとは限らず、治療で急に低下した場合にも症状があらわれることがあります。
悪寒や発熱、急な膝関節の腫れがあらわれた時や皮膚に傷があったり、手術や注射をしたあとなどは、化膿性関節炎の可能性があります。この場合には緊急対応が必要です。
複数の関節で長期間症状が続く場合
関節の痛みが左右両方でほぼ同時に始まり、手首や指の関節中心に朝に症状が強い場合は関節リウマチが疑われます。
痛みは、気候や体調にも左右されますが膠原病でも似た症状がおきます。
関節が傷む病気は多いので、自己判断は禁物です。
スポーツによる関節痛
ジョギングやゴルフ、テニスを楽しむ中高年も多く、軽度の変形性関節症をおこしているのに気づかずに運動を続けて、重症になる人もいるようです。
ジョギングでは体重の5倍以上の負荷がかかるので、無理は禁物です。
ウオーキングなら体重の2倍程度の負担ですみます。スポーツは自分の体と相談しながら行うようにしましょう。
気血のめぐりをよくして体力をつける漢方食材
疲労回復効果がある食材は、もち米、うるち米、山芋、かぼちゃ、はちみつ、はすの実などです。生命力を高めるには、くこの実、くるみ、ぎんなん、くり、ゴマなどです。
漢方ではおかゆにこのような具を入れて「養生がゆ」として食べられてきました。
どれも手軽に手に入るものなので、日々の食事に取り入れてみてはどうでしょうか。
まとめ
関節痛は気血のめぐりをよくすることで、予防と改善ができます。
関節痛の原因を明らかにして、西洋医学と東洋医学を使い分け、自分に合った方法で治療をしましょう。