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東洋医学と感染症について 免疫反応を調整する東洋医学

ウイルスと免疫力

 

新型コロナウイルスによって私たちの生活は大きく様変わりしてしまいました。

再度非常事態宣言が発出され、第三波の流行に危険迫る毎日です。

 

これからの生活をどうするべきか様々な分野で模索されていますが、今回は東洋医学の感染症の考え方についてご紹介します。

 

 

 

感染症と免疫反応

 

自然免疫と獲得免疫

 

地球上には非常に多くの生物がバランスをとって存在しています。

 

細菌やウイルスのなかには、ヒトの身体に侵入して肺炎や脳炎などの感染症を起こすものもいます(ウイルスといいます)。

 

コロナウイルスも重症肺炎を起こす恐ろしいウイルスですが、一方ヒトの体は体内に侵入したコロナウイルスなどのウイルスを攻撃して排除しようとします(これが免疫反応です)。

 

生体は発熱によりウイルスを死滅させ、痰や鼻汁のなかにウイルスを閉じ込めて、咳やくしゃみで体の外に出す、このようにウイルスから体を守ろうとするのが免疫反応ですが、時としてこの免疫反応は暴走してしまうことがあります。

 

 

免疫反応の暴走とは

 

何らかの原因で免疫が暴走し、体に悪影響を及ぼすこともあります。

ここからは免疫の暴走の例を見ていきましょう。

 

 

感染症などを悪化させる「サイトカインストーム」

 

免疫の暴走の代表例が「サイトカインストーム」です。サイトカインストームとは、サイトカインというタンパク質が過剰に分泌されることで、異物だけでなく自分の体の正常な細胞まで攻撃してしまっている状態のことです。

 

サイトカインには、アクセルの役割を持つ「炎症性サイトカイン」と、ブレーキの役割を持つ「抗炎症性サイトカイン」があり、通常はそれぞれがバランスよく働いています。

 

しかし、ウイルス感染などが原因で2種類のサイトカインのバランスが崩れると、炎症性サイトカインがブレーキが効かなくなった車のように暴走してしまうことがあるのです。免疫細胞は体の至る所に存在するため、炎症性サイトカインが暴走すると複数の臓器で炎症が起き、最悪の場合肺炎や多臓器不全に陥って死に至ることもあります。

 

とはいえ、ウイルス感染したら必ずサイトカインストームが起こるというわけではありません。どのような人にサイトカインストームが起こるかは明確になっていませんが、免疫力が低下している人が起こりやすい傾向にあるため、日頃から免疫力アップを意識した生活を心がけることが大切です。

 

新型コロナウイルス感染の重症例でも免疫反応の暴走が起こっていると考えられています。東洋医学は、免疫反応を調節(バランス)して、正しくウイルスを排除しようとする考えを基に治療します。

 

 

 

東洋医学の感染症治療

 

免疫力の強化方法

 

西洋医学はウイルスを直接死滅させる治療が中心で、東洋医学は免疫を調整する治療です。

 

東洋医学には西洋医学には無い素晴らしい効果があり、体内の免疫機能を高めて調整し、免疫反応を有利にすることによって、多くの感染症を抑制させることが期待できます。

 

代表的な漢方薬としては「四君子湯」「補中益気湯」「四物湯」「六味地黄丸」等々、どれがあなたに最適かは、東洋医学の専門家が漢方独特の「証」で決定します。

 

今回は「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」についてご紹介します。

 

 

 

補中益気湯の免疫調節作用

 

免疫はいくつかの細胞により形成されていますが、その中でT細胞は免疫反応を制御する役割と体内に進入してきた異物を攻撃する役割を担っています。

 

その中で免疫反応を制御するT細胞はヘルパーT細胞と呼ばれており,Th1とTh2細胞に分類されます。

Th1細胞が優性であると自己免疫疾患が起こりやすく、Th2細胞が優勢であるとアレルギー疾患になりやすいといわれています。

 

補中益気湯は、Th1とTh2のバランスを改善し、体の中に入り込んできたウイルスやウイルスに侵された細胞を攻撃する役割を持つNK細胞を活発にする作用があります。

 

 

 

補中益気湯とは

 

疲労やストレスなどで弱った体を、細胞から強くしていきます。

補中益気湯は、金の時代(13世紀ごろ)の中国で生まれた漢方薬で、漢方薬の中では比較的新しい時代のものとも言えます。

 

東洋医学では人間の体を上、中、下の3つの部分に分けて考えていますが、このなかで中とはお腹のことをさします。

補中益気湯の名前は「中(お腹)の機能を補って、気を益す(ます)薬」という意味になっています。

いろいろな病気に効果があることから「医王湯(いおうとう)」と呼ばれることもあります。「医薬の王様のようによく効く薬だ」と服用した人の間で評判になったことが、この名前の由来となっています。

 

人体を構成するものとして、東洋医学には「気(き)」という概念があります。

「元気」の「気」です。

 

気とは、体を動かしているエネルギーのようなもので、目には見えませんが、体の中をくまなく循環しています。

健康な体では、気が滞りなく全身を巡っているのですが、体力が低下したりストレスがかかったりすると、気の巡りに悪影響を及ぼし、気の流れが滞ったり、循環する気が足りなくなったりしてきます。

この気が足りない状態を漢方では「気虚(ききょ)」と言います。

気虚の状態では、体が正常な機能を維持することが困難となります。

胃腸機能が低下して食欲不振が起こったり、疲れやすい、だるいというような症状も現れてきます。

 

気虚は病気をして体力が低下している時や、過労や睡眠不足がある時、きちんと食事がとれていない時、また夏の暑さ負けでも起こります。

体に負担がかかっている時に起こり、さらに体に疲労感を与えるのです。

したがって、このような気虚による疲労感や胃腸機能の低下は、足りなくなった気を補っていけば良いということになります。

 

気を補い体に元気をつける漢方薬が補中益気湯です。

 

 

配合生薬

 

人参(ニンジン)、蒼朮(ソウジュツ)、黄耆(オウギ)、当帰(トウキ)、陳皮(チンピ)、大棗(タイソウ)、柴胡(サイコ)、甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)、升麻(ショウマ)

 

 

 

まとめ

 

漢方薬自体には、細菌やウイルスを殺す強い作用はありません。

しかしながら、ウイルスから身体を守る免疫機能を高め、また免疫機能の暴走をくい止め、人間が本来持っている自然治癒力を高めることができると期待されています。

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