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最古の伝統医学アーユルヴェーダ

アーユルヴェーダ

 

アーユルヴェーダと聞くと、エステ等を連想する方が多いのではないでしょうか。

本来のアーユルヴェーダは予防医学です。

世界最古の伝統医学と言われ、その歴史は5000年にも及びます。

 

アーユルヴェーダでは病気ではなく、人を診ると言われています。

なぜなら、個々人によって体質・性質が違い、ある事柄に対する反応も異なります。

 

例えば、待ち合わせに遅れて来た人を怒る人もいれば、心配する人もいます。

また、全く意に介さない人もいるでしょう。

この反応の違いは特に脈拍として現れ、脈が早くなったり、発汗したりと、肉体的な変化を伴います。

 

肉体の変化の積み重ねは、後の病気になって現れるかもしれません。

しかし、病気になるかどうかは個々人によって異なります。

 

アーユルヴェーダでは個々人が持っている体質・性質のバランスを重視しています。

また、自分本来のバランスを取り戻すことによって、より健康的に生きることができるとアーユルヴェーダでは考えられています。

 

アーユルヴェーダを通して自分の体質・性質を理解し、バランスのとれた生活習慣を知り、より健康的な毎日を送るための手助けになれば幸いです。

 

 

 

5000年の歴史を持つアーユルヴェーダとは?

 

生命

 

アーユルヴェーダの歴史は5000年にも及びます。

5000年もの間、人間の身体についての研究が行われ、食事療法・治療法・薬草学にとどまらず、生活習慣などを含めた幅広い分野について説かれています。

 

アーユルヴェーダは世界三大伝統医学の1つに数えられる、先人から受け継がれてきた、「より良く生きるための知恵」です。

 

その名の示す通り、サンスクリット語のAyuhは生命を、Vedaは科学・真理をあらわします。

 

アーユルヴェーダでは、身体の活動の根本にはエネルギーが存在すると考えられ、このエネルギーのことを「ドーシャ」と呼んでいます。

まずは、アーユルヴェーダの主要概念であるドーシャについて見ていきましょう。

 

 

 

身体の根本エネルギー「ドーシャ」とは

 

ドーシャとは

 

アーユルヴェーダでは、身体の根本となるエネルギーをドーシャと言います。

ドーシャはサンスクリット語で「不純なもの、増えやすいもの、病素」などと言われ、増えすぎることによってバランスを崩し病気を引き起こすとされています。

 

また、身体と対をなす心の根本のエネルギーを「グナ」といい、「心のドーシャ」とも言われています。

 

 

 

心の根本エネルギー「グナ」とは

 

心の根本エネルギーをグナと言いい、3つの要素があり、それぞれを「サットヴァ」「ラジャス」「タマス」と呼んでいます。

 

「サットヴァ」は純粋性を意味し、「心のドーシャ」には含まれません。

「サットヴァ」が増加することで、バランスの取れた状態を促してくれます。

バランスのとれた状態とは、すなわち健康のことで、健康の基礎となるものです。

 

「ラジャス」は「動性」を意味し、増加することで活動的になりすぎてしまい、いらいらがでてきたり、怒りっぽくなったりします。

その結果、身体のドーシャバランスに影響を及ぼします。

 

「タマス」は「惰性」を意味し、増加することで怠惰になったり、精神活動も沈滞したりします。その結果、身体のドーシャバランスに影響を及ぼします。

 

要するに、バランスがとれている状態が「サットヴァ」であり、健康な状態です。

一方で「ラジャス」や「タマス」が増加すると、バランスが崩れ健康的な状態も崩れてしまいます。

その結果、身体のドーシャに影響を及ぼし、身体に何らかの症状が現れるのです。

 

 

トリドーシャとトリグナ

 

ドーシャには3つの要素あり、それぞれを「ヴァータ」「ピッタ」「カパ」と読んでいます。

サンスクリット語で3を表す「トリ」を使い、この3つのエネルギーをトリドーシャと総称します。また、グナも同じように上述の3つの要素をトリグナと総称しています。

 

次は、アーユルヴェーダの主要概念であるトリドーシャ、「ヴァータ」「ピッタ」「カパ」について詳しく見ていきましょう。

 

 

 

風のエネルギーを持つヴァータとは

 

ヴァータ

 

アーユルヴェーダでは、万物は空・風・火・水・地の五大元素から構成されていると考えられています。

 

ヴァータ・ピッタ・カパも五大元素から構成されています。

 

ヴァータは空と風の元素から構成され、軽・冷・動・速・乾の性質を持ちます。

また、運動エネルギーとして、体内の運搬や循環などの制御を担当しているのです。

 

ヴァータが増えすぎると、ヴァータのバランスが崩れ、体内で風のエネルギーが増え、その性質である冷・乾などが刺激され、体が冷えたり、乾燥したり、という症状が現れます。

 

本来のバランスが整っていれば、身体は軽く疲れを感じにくくなるのです。

 

 

ヴァータの特徴

 

ヴァータの性質は風のように変わりやすいという特徴があります。

 

サットヴァが増えてバランスが取れているときは、好奇心旺盛で行動も素早くなります。

また、新しいものに対しても順応しやすくなり、理解や記憶も早くなります。

 

一方でラジャスが増加して、同じ性質を持つヴァータを増加させることでバランスが崩れます。

その結果、不安が強くなり、気分は安定せず、何事に対しても心配性になりがちです。

 

体形はやせ形で華奢、身長は高い人もいれば、低い人もいます。

骨ばっている手足の血管は浮き出ていて、乾燥肌。

髪の毛もパサついていて冷え性という特徴も持っています。

 

 

ヴァータ体質の食事法

 

冷性、乾性の性質を持つヴァータの増加を抑えるには、温かいものや油気のあるものが適しています。

身体を冷やしやすい生野菜や冷たいものを避けて甘味、酸味、塩味の強いものを選びましょう。

 

ヴァータ体質の人は動作が早いので、食事中は落ちついてゆっくり食べることが大切です。

また、食欲にもムラがあり、不規則な食生活になってしまう傾向があるので、

意識的に食事の時間を決めることも勧められています。

 

 

 

火のエネルギーを持つピッタとは

 

ピッタ

 

ピッタは火と水の元素から構成され、熱、鋭、軽、液、油の性質を持ちます。

変換エネルギーを持ち、体内に取り込まれた食物を血や肉に変換し、代謝や消化の調整をしているのです。

 

ピッタが増えすぎると、火のエネルギーが増えて、皮膚などに炎症が現れたり、下痢が起きたりしやすくなります。

 

ピッタのバランスが整っているときは手足が温かく、食欲も旺盛で代謝や消化が促され、排泄も順調に進みます。

 

 

ピッタの特徴

 

ピッタの性質は火のような激しさです。

サットヴァが増えてバランスがとれていれば、チャレンジ精神が旺盛で勇気をもって物事を進めていける、リーダーに最適な人物となります。

また、集中力も高く、行動や話に無駄がなく、知性的でもあります。

 

一方で、ラジャスが増加してピッタのバランスが崩れると、完ぺき主義に陥り短気で怒りっぽくなりがちです。

 

さらに、批判的になるので敵を作りやすくなってしまいます。

 

体形は中肉中背でスタイルが良く、皮膚は温かくやわらかで色つやもよい。

髪は細くやわらかで、若白髪、若禿げになりがちです。

 

 

ピッタ体質の食事法

 

熱性の性質をもつピッタの増加を抑えるには、熱の属性をもつ辛いスパイスや塩分の多い食べ物などは控えたほうが良いでしょう。

 

甘味、苦み、渋味のある食べ物を選び、身体を冷やす生野菜や果物を多くとることが勧められています。

 

ピッタ体質の人は消化の力も強く食欲が旺盛ですので、食事の量に気を付け、食べすぎには注意が必要です。

 

 

 

水のエネルギーを持つカパとは

 

カパ

 

カパは水と地の元素から構成され、重、冷、遅、油の性質を持ちます。

結合のエネルギーで細胞を構成し、身体の内部環境を維持します。

 

カパが増えすぎると、水のエネルギーが増え、アレルギー性の鼻炎や鼻水・鼻づまりに

悩まされることが多くなります。

また、むくみや肥満になりやすい傾向があります。

 

カパのバランスが整っているときには、体力が充実し、体格はがっしりとして持久力が高くなります。

 

 

カパの特徴

 

カパの性質は水のように安定した穏やかさです。

サットヴァが増えてバランスがとれていれば、穏やかさと寛大さにあふれ、心が落ち着いています。

また、辛抱強く物事に取り組むため、やり遂げる力があります。

 

一方で、タマスが増加して、カパのバランスが崩れると、執念深く物事にこだわるようになってしまいます。

 

体形は一般的に体格が良く、大柄で骨太です。肌は冷たく色白で、肌質は潤いがあり、滑らか。髪は黒く艶があり白髪にはなりにくく、大きな目と長いまつげも印象的です。

 

 

カパ体質の食事法

 

重性、冷性の性質を持つカパの増加を抑えるには、食事の量や内容に気をつけ、身体を温めるようなスパイスを使った食事をとりましょう。

辛味や苦み、渋味のあるものを重点的にとり、温かい食べ物を選んでください。

 

甘味や酸味の強い食べ物、揚げ物などの油を多く含んだものは避けることが勧められています。

 

 

以上、トリドーシャを詳しく見てきました。

 

個々人によってヴァータ・ピッタ・カパを持っている割合は異なります。この割合によって、その人の体質が決まります。

では、この割合はどのように決まるのでしょうか。

 

 

 

生まれながらの体質と変化する体質

 

アーユルヴェーダ生まれ持っての体質

 

サンスクリット語で体質のことをプラクリティといいます。プラクリティは個々人のドーシャの割合で決まりますが、先天的なものと後天的なものの2種類があります。

 

先天的に持っているドーシャの割合をバース・プラクリティ、後天的なものをボディ・プラクリティと言います。

 

例えば、バース・プラクリティがヴァータであっても、日常的に甘いものや油の多いものを繰り返し食べていれば、カパが増加して、カパ体質のようにカパのバランスを崩しやすくなります。その結果ボディ・プラクリティはカパとなるのです。

 

今の体質がボディー・プラクリティによるものであれば、食べるものの好みや生活習慣によって、上述のように他のボディー・プラクリティやバース・プラクリティに変化することがあります。

 

つまり、トリドーシャのうち何が優勢になっているかでプラクリティが決まります。

 

 

トリドーシャの割合

 

トリドーシャの割合は1種類のドーシャだけが優勢という人はほとんどおらず、2種類のドーシャが優勢という人が多く存在しています。

また、3種類のドーシャの割合が同じという人もほとんどいません。

 

2種類のドーシャが優勢であるということは、2つのドーシャの良い面も悪い面も兼ね備えているということです。

 

例えば、ヴァータ・ピッタが優勢なプラクリティをもつ人であれば、冷え性でありながら暑さに弱かったり、知性的であり実行力を持っているものの、ストレスに対しては怒りと不安が交互に出てきたりと、ヴァータ・ピッタの両方の性質が顔を出すのです。

 

上述したドーシャの性質を知っておくことで、自分のドーシャの割合の把握がしやすくなります。

 

 

 

ドーシャバランスの変動要因

 

生活サイクル

 

ドーシャは増えすぎることでバランスを崩します。また、ドーシャには似た性質のものが似たものを増やし、異なる性質のものが異なるものを減らすという特徴があるのです。

 

例えば、ピッタは熱の性質を持つので、熱の属性を持つ辛いスパイスをとれば、ピッタが増えることになります。反対に身体を冷やす生野菜をとればピッタを減らすことができます。

 

このように、ドーシャは似た性質のものが似たものを増やし、異なる性質のものが異なる性質のものを減らします。

 

これを踏まえたうえで、ドーシャバランスに影響を与える要因をみていきましょう。

 

ドーシャバランスの変動要因は5つあります。

 

  1. プラクリティ

  2. 時間

  3. 日常生活

  4. 環境

  5. 天体

 

1つずつ解説していきます。

 

 

1.プラクリティ

 

 

先ほども説明した通りバース・プラクリティによってドーシャの割合が決まります。

しかし、ボディ・プラクリティはその後の食生活や生活習慣によって決まります。

 

 

2.時間

 

1日のうちのどの時間か、1年のうちどの季節か、年齢はいくつかによって、カパが増えやすい時、ピッタが増えやすい時、ヴァータが増えやすい時があります。

 

1日のうち朝6時から夕方6時までの12時間で4時間ごとに

  • カパの増えやすい時間(6時~10時)

  • ピッタの増えやすい時間(10時~14時)

  • ヴァータの増えやすい時間(14時~18時)

 

その後の12時間も同じように移り変わっていきます。

 

1年の中では春はカパが増えやすく、夏はピッタが、晩秋から冬にかけてはヴァータが増えやすくなります。

 

年齢では若年期にはカパが増えやすく、壮年期にはピッタが、老年期にはヴァータが増えやすくなります。

 

 

3.日常生活

 

アーユルヴェーダでは日常生活のあらゆることがドーシャのバランスに影響するとされています。

 

例えば、五感に影響するもの、食べる、見る、嗅ぐ、聞く、触るといったことはすべてドーシャに影響を及ぼします。

 

つまり、冷たいものを食べることで、カパに影響を及ぼし、カパが増えることで、カパのバランスが崩れやすくなります。

 

このように日常生活のあらゆることが、ドーシャバランスに影響を及ぼします。

 

 

4.環境

 

住む場所の環境や旅先などの環境もドーシャに影響を及ぼします。

 

例えば、暑い地域に住んだり、暑い地域に旅行にいったりすれば、ピッタが増えやすくなります。

 

このように、ドーシャは環境によっても影響を受けるのです。

 

 

5.天体

 

天体も人体におけるドーシャのバランスに影響を及ぼします。

 

例えば、太陽は火の性質を持つのでピッタを増やしますが、カパを減少させます。

また、月は水の性質をもつので、カパを増やしますが、ピッタを減少させます。

 

このように、天体の及ぼす人体への影響もドーシャのバランスを変動させるのです。

 

以上、ドーシャバランスの変動要因を5つご紹介してきました。

 

 

5つの変動要因を知っておくことで、ドーシャバランスを整えるための手助けにもなると思います。

 

 

 

日常生活とともにあるアーユルヴェーダ

 

アーユルヴェーダの主要概念であるドーシャについて詳しく見てきました。

 

アーユルヴェーダは5000年もの長い年月を経て得られた先人の知恵であり、病気を診るのではなく、人を診る伝統医学です。

 

西洋医学のような病気の症状に対処する対症療法ではなく、アーユルヴェーダでは病気を根本から治していくための食生活や生活習慣について説かれており、生活に密着した医学であると言えます。

 

まずは、自分のプラクリティを知り、そのドーシャのバランスが整うように5つの変動要因に気を付けます。そうすることで、より健康的で精神的にも落ち着いた生活を送ることができるのではないでしょうか。

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