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便秘の原因とアーユルヴェーダでの便秘解消法について
「何日も便が出ない」、「お腹が張る」、「お腹が痛い」、「便が硬く、出すときに強くいきむ」など、排便に苦痛や不快感がともなう場合は「便秘」の状態かもしれません。
厚生労働省が発表した平成25年度の「国民生活基礎調査の概況」によると、人口千人あたりで37.8人が便秘の症状を自覚していると回答されています。日本人全体では、470万人が便秘に悩んでいることになります。
慢性的に便秘の症状を抱えている人の中には、つらいと感じても「体質だから治らない」と思い込んで我慢するなど、その場しのぎの対処をしている人が多いのではないでしょうか。 便秘をそのままにしていると、気分が落ち込んだり、やる気が出なくなったりするなど、心にも悪い影響が出てきます。また、便秘の方は、そうでない方に比べて大腸がんになるリスクが高いという報告もあります。便秘や下痢が続いている方は、アーユルヴェーダの便秘改善方を試してみてはいかがでしょうか。生活を工夫することで、便通が楽になるかもしれませんよ。
便秘の原因について
便秘には、原因がはっきりしている便秘と原因がはっきりしない便秘と大きく2つに分類されます。
原因がはっきりしている便秘
・器質性便秘(消化器官の病気が原因の便秘)
・症候性便秘(内科的な病気が原因の便秘)
・薬剤性便秘(お薬の服用が原因の便秘) があります。
それぞれの原因について簡単に説明します。
器質性便秘(消化器官の病気が原因の便秘)とは
大腸がんやクローン病などの病気が原因で腸の構造に異常が起こり、便が通れなくなることで生じるタイプの便秘です。
便秘から腸閉塞に移行することもあるため、放っておかずに病医院を受診しましょう。
症候性便秘(内科的な病気が原因の便秘)
糖尿病やパーキンソン病など、内科的な病気の影響で生じるタイプの便秘です。
原因となる病気を治療中の方は、気になる症状を主治医に相談してみましょう。
薬剤性便秘(お薬の服用が原因の便秘)
服用したお薬の影響で生じるタイプの便秘です。便秘に影響するお薬として、抗コリン薬や抗うつ薬などが知られています。
特に高齢者は多くのお薬を服用している場合が多いため注意が必要です。
原因がはっきりしない便秘
・機能性便秘(もっとも一般的な便秘のタイプ)
・便秘型IBS(腹痛・腹部不快感をくりかえすタイプ)があります。
それぞれの原因について簡単に説明します。
機能性便秘(もっとも一般的な便秘のタイプ)
偏った食事や運動不足といった生活習慣の乱れや、ストレスなどにより、腸の働きが低下することで生じるタイプの便秘です。
もっとも一般的な便秘のタイプといわれています。便秘が解消されない場合は医師に相談して適切な治療を受けることが大切です。
便秘型IBS(腹痛・腹部不快感をくりかえすタイプ)
おもにストレスに起因して、下痢や便秘を慢性的にくりかえす疾患です。 日本人のおよそ7人に1人がIBSに当てはまると推定されており、30代より若い年代に比較的多くみられる傾向があります。不満や不安等のストレスを抱えている場合には医師に相談してみましょう。 IBSは病医院で診察・治療ができる病気です
便秘が続くと、肌荒れやニキビ、冷えやむくみ、お腹のはりに繋がります。下痢は水分を取り込めていないので、脱水症状に注意が必要です。
特に激しい下痢や血便、発熱、嘔吐を伴う下痢は、すぐに医療機関に受診しましょう。
便秘や下痢を繰り返すと、大腸ガンのリスクが上がるので、早めに対処していきましょう。
アーユルヴェーダからみた便秘の原因と解消方法について
アーユルヴェーダは便秘のタイプを2つに分類されます。
ヴァータタイプの便秘とカパタイプの便秘です。
ヴァータタイプの便秘の原因について
ヴァータタイプの便秘の原因として、慢性疲労や不規則な生活、腸内の乾燥や水分不足、ストレス等、また女性の場合に多いのが、会社等での排便が恥ずかしいなどの理由で、排便要求を抑えたりすることにより、便秘の引き金になる場合もあります。
これらの原因に思い当たり、便の状態が「硬くコロコロ便」の人は、ヴァータタイプの便秘です。
カパタイプの便秘の原因について
カパタイプの便秘の原因として、未消化物質、老廃物が溜まっている、消化に重いもの(油っぽいもの、小麦粉、チーズ、ヨーグルト、甘すぎるもの)の摂りすぎ、運動不足等の原因があり、便の状態が「ねっとりと重くべたっとした便」の人はカパタイプ便秘です。
次にヴァータやカパの乱れを整える方法をお伝えします。
アーユルヴェーダでの便秘解消方法について
ヴァータ、カパのタイプ別に解消方法をお伝えします。
ヴァータタイプの便秘解消方法
ヴァータ性の便秘を解消するためには、ヴァータの性質(乾燥性・冷性・軽性・不規則性)と逆の性質の食事をとる・生活を送ることがポイントになってきます
①温かく適度に油分を含んだ食事を心がける
生野菜や冷たい食事はヴァータを更に悪化させるため、避けましょう。
ギーオリーブオイルは特にオススメです。
②白湯を飲む
ヴァータ性の便秘は腸内の乾燥も原因の一つなので、水分も適度に摂りましょう。
意識的に白湯を飲む習慣が大切。朝コップ1杯の白湯はアーユルヴェーダで推奨されている方法の一つです。
③規則正しい生活をする
ヴァータが乱れたタイプの便秘では、不規則な生活をすることでさらに悪化してしまいます。食規則正しく食べ、睡眠はしっかりととることが、乱れたヴァータを安定させ、身体のバランスを整えるのに非常に貢献します。
④下半身を温める
ヴァータの体内での居場所は腰から下、下半身が中心です。
体を冷やさない服装もヴァータタイプにとっては大切です。特に足元や下半身は腸の動きと連動するため、冷やさないように気をつけましょう。湯たんぽや腹巻き、靴下なども取り入れてみてください。
カパタイプの便秘解消方法
カパ性の便秘を解消するには、カパの性質(重性、冷性、油性、安定性)と反対の食事や行動をすることが重要です。
①緑の葉野菜を中心に、食物繊維を多く摂る
悪化したカパの性質を減らすには、苦味の緑の葉野菜が最適です。
意識的に食物繊維の多い料理で、腸内にたまった老廃物をすっきり排出させましょう。
②温かく消化に良い食事を中心に、油分は控える
カパは冷たい性質をもっているので、ヴァータ性の便秘と同様、生野菜や冷たいものは控え、温かいものを選ぶこと。ヴァータタイプと違い、油物は控えましょう。煮物、蒸し料理がオススメです。
③食べすぎず、腹八分にする
ねっとり便秘タイプの方は、老廃物が溜まっているので、食べ過ぎには要注意です。
未消化物質が腸内に残っているため、その状態で食べすぎるとさらに未消化物質が溜まり、さらに便秘の症状を重くします。
④白湯をとる
白湯はどちらの便秘タイプの方にもおすすめな習慣です。
ヴァータもカパも冷たい性質を持っているため、乱れた症状を緩和するには、温かい質のものを摂るのが重要です。
⑤運動をして身体をよく動かす
運動は、ずっしりと腸内に停滞した便を出すのにとても有効です。
軽いジョギングや、お腹周りをねじるエクササイズやストレッチがおすすめです。
ヨガのポーズでは縄のポーズが良いでしょう。ツイストすることで、腸を動かしてくれます。
まとめ
便秘の症状はタイプによってアプローチが違います。当てはまる症状から、それぞれにあった対処方法をしていきましょう。