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東洋医学から学ぶ 関節痛について 関節痛の痛みを和らげる鍼灸治療

関節痛について 関節痛の痛みを和らげる鍼灸治療

 

朝起きたときや長時間同じ姿勢でいたあと、あるいは歩いたあとなどに、ひざやひじ、指などの関節が動きにくかったり、痛みを感じたことはないでしょうか。とくに寒い時期には、関節の痛みもいっそう感じやすくなります。こうしたこわばりや腫れ、痛みがあったら、関節に炎症が起きている可能性があります。

 

 

関節痛の主な原因は

 

関節痛は、さまざまな原因から起こります。スポーツなどで靭帯や半月板などを傷めたときや、関節リウマチ、感染性関節炎、痛風発作、インフルエンザなどの病気によるもの、加齢とともに骨と骨との間のクッションの役割をする軟骨がすり減って痛みが発生等さまざまです。

 

関節痛の患者数は年々増加している

 

関節症疾病の総患者数は、平成26年厚生労働省の患者調査によると125万人で、主な傷病外来患者数の第5位(1位 歯科、2位 高血圧症)と年々患者数は増えています。

また、手足の関節の痛みを訴える人は、男女ともに40代後半から増えはじめ、高齢になるとほど痛みを訴える人が増加しています。特に女性の割合が高く、男性に比べて約1.6倍となっています。

 

痛みを感じ始めたのは、

 

痛みの感じ方は人それぞれですが、関節の痛みがある感じた人の約半数が40代~50代で痛みを感じ始めています。

40代で25%、50代で29%、60代24%で、40代と50代が最も多くなっています。

 

 

関節痛の症状

 

・変形性関節症とは

関節痛の原因で、いちばん多いのが変形性関節症です。

かつては加齢によって軟骨がすり減るために起こると言われていましたが、そうとも言い切れず、軟骨細胞の代謝異常が原因とも言われています。

朝起きた時に痛みやこわばりを感じることが多く、膝関節と股関節に炎症が起こる率が高く、手の指や肩などにも痛みやこわばりの症状があらわれます。

変形性関節症は、運動不足の人や肥満気味の人、O脚気味の人に起こりやすい傾向にあります。

変形性関節症のなかでも歩行時の痛みやひざの曲げ伸ばしがしにくくなる変形性膝関節症や、股関節の可動域が狭くなる変形股関節症がよく知られています。

 

・関節リウマチとは

関節リウマチも変形性関節症と同じように関節痛を伴います。

原因は自己免疫疾患で、免疫機能が過剰に働きすぎて自身の身体の一部を攻撃してしまいますが、免疫異常が関節に起こった場合が関節リウマチです。

原因不明の微熱やだるさが続き、手足のこわばりや腫れ、貧血や腎臓障害、体重減少などが見られます。

関節リウマチ患者の7割から8割は女性の患者です。

 

・その他の関節痛を引き起こす病気

関節痛の原因には、代表的な変形性関節症と関節リウマチのほかにも、運動障害のほか、関節に細菌が入って起こる化膿性関節炎、四十肩、五十肩や尿酸値が高くなる痛風などがあります。

痛風は熱感を伴う激痛が突然起こり、一週間もすると治まりますが尿酸値が高いまま放置すると発作をくり返すことになってしまいます。

 

 

関節痛の治療方法

 

西洋医学(整形外科等)では

レントゲン検査、MRI検査等の検査を行い、手術による治療(人工関節置換術等)または手術以外の運動療法(筋力訓練と関節のストレッチング)、投薬、消炎鎮痛剤・ヒアルロン酸の関節内注射等の治療を行います。

多くの方が、手術を受けなくても病気の進行を遅らせたり、痛みなどの症状を軽減することが可能ですが、運動療法では、患者さん自身が積極的に治療を行おうとする姿勢がとても重要になります。

 

 

東洋医学(鍼灸治療)では

鍼治療では痛みの原因となっている深部を細い鍼で刺激することによって、血行を促進し、痛みや疲労の原因となる物質を排出したりすることで、痛みの感覚を和らげます。

また鍼治療は、手術後の痛みを和らげる効果や身体の治癒力を高めるためにも役立ちます。

 

鍼治療は、中国や日本からだけではなく、世界保健機関(WHO)、米国国立公衆衛生研究所(NIH)、英国医師会(BMA)からも、様々な症状や疾患に有効であると報告されている治療法です。

 

 

痛みを緩和する自己ケア

変形性関節症のなかでも一番多い変形性膝関節症に効果的なツボ

 

膝関節は身体全体を支えるために、最も痛みが表れやすい部位です。

年齢を重ねると関節の軟骨が薄くなり骨液も薄くなるため、多くの人がひざの痛みに悩ませられます。

予防のためにも自分で膝関節周辺のツボを押して筋肉をほぐし、常に血流をよくしておくことが大事です。

 

・膝の上にある血海(けっかい)

【ツボの位置】

ひざの皿の骨の内側から、指3本分上にあるツボが血海です。

 

【ツボの押し方】

両手の親指の先を重ねて当て、痛みを感じる手前の強さで2~3秒押して離す刺激を3~5分間繰り返します。

 

・膝関節の内側にある曲泉(きょくせん)

【ツボの位置】

膝の内側で膝を曲げた時にできるシワの終わるところです。

 

【お灸の方法】

お灸は毎日1回行ってください。お風呂の前後1時間と、熱感や腫れがあるときは避けてください。

 

※痛みが引かない場合は、痛みをかえって悪化させてしまうこともありますので注意が必要です。

 

 

痛みでの気持の落ち込みを改善するツボ

 

関節痛は長引くため気持ちも落ち込みますが、気の滅入りは身体の回復を遅らせてしまいます。

気分が落ち込んだときは、倦怠感をとり除くツボを刺激すれば活力が湧きます。
また、気の流れをスムーズにする次のようなツボも習慣的に刺激しましょう。

 

足のツボ「足三里(あしさんり)」

ツボの効果

足に溜まった老廃物の排出を促し、溜まった疲れを和らげてくれます。足の疲れを取るなら足三里の刺激を昔から行われていました。足の疲れを取るだけでなく、胃の調子を整える効果、全身の痛みを取り治癒力を高める効果があります。

 

ツボの位置

膝の外側、膝蓋骨(膝のお皿)から指4本分下がった一番くぼんでいる場所に位置しています。弁慶の泣き所の上部にあります。

 

ツボの押し方

太い骨に沿って位置しているツボであるため、少々強く指圧します。中指や親指を使って、骨を外側から推すイメージで圧迫します。両手の親指で圧迫するのも効果的とされています。心地の良い痛みを感じる程度の強さで、両足の足三里を指圧していくといいでしょう。

 

 

手の甲にある万能ツボ「合谷(ごうこく)」

ツボの効果

精神不安 頭痛 花粉症 難聴 歯痛 生理痛 などなどに効果があります。

 

ツボの位置

手の甲側、親指と人さし指の骨の分かれ目のやや人さし指側にあるツボです。

 

ツボの押し方

親指を「合谷」にあて、気持ちいいと感じる強さでやや強めに押しもみます。両手それぞれ約30回程度、押してはもみを繰り返します。

 

精神的な疲れ(心の疲れ)には、

手のひらのツボ「労宮(ろうきゅう)」

ツボの効果

心が疲れストレスが溜まると押すことで痛みを感じます。労宮を押すことで、手のひらの血行が良くなり、自律神経を整え、気持ちを落ち着かせる効果が期待できます。他にも緊張感を緩和させ、気持ちを落ち着かせる効果や、手のほてり、動悸、吐き気、胃腸の不具合、首や肩こりの改善に効果的と言われています。

 

ツボの位置

ちょうど手のひらの中心にあります。拳を握る(グーにする)と中指と薬指の指先の間に位置しているので、それを目安にしてみるといいでしょう。

 

ツボの押し方

痛いけど気持ちいい程度の強さで指圧します。左右両方を10回または1回5秒5セットを目安にして行うことが効果的と言われています。温めたり、労宮を刺激できるもの(ボールなど)を両手で挟んでほぐしたりすることも心地よさを感じることができます。

 

 

生きるためのエネルギーが湧いてくる

足裏のツボ「湧泉(ゆうせん)」

ツボの効果

生きるためのエネルギーが「泉」のように「湧」き出るという名のツボ「湧泉(ゆうせん)」。体の疲れを取り除き、元気を取り戻す効果があると言われています。

 

ツボの位置

土踏まずのくぼんだ所のほぼ中央にあり、強く押すと刺激を感じる所です。足の裏の中央よりつま先寄りのへこんだ所に位置しています。

 

ツボの押し方

親指の先で強く押しもみ、ゆるめます。それを3秒間隔で交互に繰り返します。冷えている場合はお風呂や足湯などで温めてから行うとより効果的と言われています。

 

 

まとめ

関節痛の多くは痛みが長引き、身体は徐々に不都合がでてくるため、心身ともにストレスが溜まりがちです。

痛みに対する過度な不安は、うつや神経症などの新しい病気を引き起こす原因にもなりかねません。

あらゆる角度から自分が信頼できる治療方法を探し、西洋医学と東洋医学を取り入れた治療法も検討し、痛みに負けず健康でありましょう。

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