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肩甲骨のコリ改善 鍼灸治療・自分で押せるツボ・肩甲骨はがしでコリをとろう
背中に張り付いた肩甲骨をほぐすには、まず、肩甲骨周りの筋肉の過緊張をゆるめてあげることが大事です。
肩甲骨周りの筋肉がほぐれると、肩や胸がスッと開いてデコルテにスッキリしたラインが生まれ、姿勢が格段によくなります。
また血行がよくなるため、代謝が良くなり、顔色もトーンアップします。
肩甲骨は、骨や関節や内臓の病気を引き起こしてしまう恐れもあるため、早めにほぐしておくことが大事です。
今回は、肩甲骨のコリを改善する鍼灸治療とツボ、肩甲骨はがしについてご紹介します。
肩甲骨とコリによる影響
肩甲骨は左右の肩の背中側にある骨です。
後ろからみると逆三角形をしており、上半身を自在に動かす要となります。
体の要は首、肩甲骨、股関節と言われ、この内のひとつでも歪みが生じると痛みや不快症状が起きてしまいます。
肩甲骨は、骨盤と同じように他の大きな骨とつながっていません。
そのため、歪みやすく固まりやすいといった性質があり、気をつけないと年齢とともにスムーズに開閉しなくなってしまいます。
例えば、猫背の状態で肩甲骨が固まると呼吸が浅くなってしまいます。
また、肩周辺やデコルテに脂肪や肉がつきやすく、見た目にも老けて見えてしまいます。
「背中に年齢が出る」と言われますが、肩甲骨を意識することはアンチエイジングにつながります。
肩甲骨のコリ確認方法
肩甲骨のコリは、下半身の硬さでわかります。
開脚をして体を前に倒すとき、内モモや膝裏、ふくらはぎが硬直して痛い場合は、肩や肩甲骨もかなりこっています。
壁を背にして立ち両腕を真っ直ぐ上げて違和感があるようなら、やはり肩甲骨まわりがこっています。
正常な肩甲骨は、背中の上部にあって自由に動くものですが、長時間のデスクワークやパソコン作業などが続くと、猫背の姿勢になってしまいます。
肩甲骨のコリの改善方法
肩甲骨のコリに効果的な鍼灸治療
肩甲骨のコリの解消に効果があるツボを鍼で刺激して、ツボ周辺やその先へとつながっている筋肉の緊張をほぐし、コリを緩和していきます。
鍼は層になっている肩周辺の筋肉の奥の方にも作用するので、鍼治療を受けた直後から効果が実感でき、マッサージにより効果が持続します。
鍼の効果① 血行促進
鍼をすると、細胞に自分ではわからないほどの小さな傷がつきます。
体内の免疫細胞はこの傷を修復するため、そして異物である鍼を除去するため、血流を促進させます。
鍼による血行促進効果は施術中から実感でき、徐々に体がポカポカしてくるでしょう。血行がよくなると冷えが解消されるほか、血液に滞留していた疲労物質が排出され、肩や肩甲骨のコリが緩和されます。また血液には組織が必要な酸素や栄養素を運ぶ働きがあるため、筋肉に栄養が行き届き、筋肉疲労が解消されていきます。
鍼の効果② 自律神経を整える
ストレスなどで自律神経が乱れると、血流が悪くなったり、肩や肩甲骨がこったり、夜眠れなくなったり、様々な症状が現れるようになります。
鍼には自律神経のバランスを整える効果があるため、自律神経の乱れから現れる様々な症状を改善してくれます。
肩や肩甲骨のコリも解消されますし、コリを引き起こす血行不良や睡眠不足、眼精疲労なども解消してくれます。
鍼灸の効果はWHOでも認められている
WHO(世界保健機構)は鍼灸の適応疾患を発表しています。
この中には肩や肩甲骨のコリも含まれており、鍼灸の肩や肩甲骨のコリ解消の効果が世界に認められていると言えるでしょう。また肩や肩甲骨のコリ以外にも、コリを引き起こす原因にもなる眼精疲労、疲れ目、不眠、自律神経失調症なども鍼灸の適応疾患となっています。
治療直後から体がスッキリします
鍼は即効性が高いことでも注目されています。
治療直後から体がすっきりし、あんなに重くこっていた肩甲骨が軽くなったことを実感できます。
さらに1回だけでなく、定期的に施術を重ねるごとに効果の持続時間も長くなり、肩甲骨がコリにくい体へと変化していきます。
肩甲骨のコリを取るツボ 膏肓(こうこう)と天宗(てんそう)
肩甲骨まわりの筋肉がいつも柔らかい状態だと、スムーズに血液が流れます。
「肩がこっている、呼吸が浅い」などの自覚症状があるときは、肩甲骨はかなりのダメージを受けています。
最近では健康意識や美意識の高い方は、体のメンテナンスを兼ねて鍼灸治療を定期的におこなう人が増えてきました。
肩甲骨のトラブルは様々な病気と関係があるので、早め早めに対処しましょう。
自分で背中の痛みやコリを取るには、仰向けに寝て両手を脇から差し込んで、体を少し浮かせて握りこぶしを作り、背骨から少し離れたところを自分の体重をかけながら、腰までゆっくり押していきます。
下へ握りこぶしをずらすときには軽く腰を持ち上げておこないます。
肩甲骨のコリに効果的なツボ 膏肓(こうこう)
ツボの位置
肩甲骨の内側にあります。
ごりごりとしたしコリができやすい部分なのでわかりやすいです。
ツボの押し方
3秒押して離すのを、繰り返します。
腕を回したりして、背中のだるさがスッキリするまで数回繰り返します。
肩甲骨のコリに効果的なツボ 天宗(てんそう)
ツボの位置
肩甲骨のちょうど真ん中あたりで、押すとズキっと痛みが走るところ。
ツボの押し方
3秒押して離すのを、繰り返します。
あまり強く押しすぎないように、弱めのマッサージを心掛けましょう。
鍼灸治療のようにピンポイントで刺激することはできませんが、辛いときは自分で押してみましょう。
毎日ちょっとずつ、肩甲骨はがし
毎日5分、夜寝る前や朝起きたときなど、身体がほどよくゆるんでいるタイミングでストレッチを行いましょう。
毎日続けることで、肩甲骨周りが動かしやすくなってくるのを感じられます。
腕の付け根をストレッチ
- あぐらをかいて座り、両腕を内側から外側へと回旋させて、指を床に置く。
- 手のひらを床に付けて、腕の付け根が伸びているのを感じながら、10秒キープしましょう。
肩の後ろをストレッチ
- あぐらをかいて座り、右手を肩の高さで前に出して、左手をその下から通し、手のひらを顔正面に持ってくる
- 右の手のひらを、左の手のひらに重ねるようにして、そのまま10秒キープ。難しい場合は、手の甲同士を重ね合わせる形でもOK
- 両手を重ねたまま、手を上へと上げていく。肩の後ろが伸びているのを感じられたらOK。逆サイドも同様に行いましょう。
肩甲骨まわりをストレッチ
- 腕を背中側に回し、右手を上から、左手を下から持ってきて、背中で手を組む、そのまま10秒キープ。難しい場合は、ゴムバンドやタオルなどを使って繋げばOK
- 次に、両腕を背中に回し、動きが悪いなと感じるほう(→固まっているほう。写真では左)の肘を、逆の手で抱える
- 手のひらが肩甲骨の間にくるように、抱えた肘を引き寄せ、腕の付け根の伸びが感じられるところで10秒キープします。
この後、①をもう一度やってみると、グッとやりやすくなっているはずですよ。
肩甲骨のコリに効果的な鍼灸治療、ツボの効果、肩甲骨はがしストレッチをご紹介しました。
この他に、漢方薬も肩甲骨の血行改善や筋肉の緊張を和らげる効果があります。
合わせて行うとより効果的です。
次に、肩甲骨に痛みが起こる病気についてご紹介します。
血行不良が原因でない肩甲骨の痛みについて
肩甲骨に何らかの異常を感じる人のほとんどの原因は、日常生活からくるものです。
例えばパソコンやスマホの使い過ぎや運動不足、ストレスなどが重なり合って肩甲骨に痛みがおきます。
しかし、骨や関節の病気の場合や内臓の病気の場合もあります。
中には、狭心症や心筋梗塞といったすぐにでも救急車を呼ぶ必要がある重篤な場合もあるので、普段から自分の身体と向き合うことが大事です。
胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)
首から腕に向かう神経や血管が、鎖骨の後ろで首の筋肉などに圧迫されておこります。
首や肩、腕の痛みやしびれなどの症状があらわれますが、痩せてなで肩の人や筋肉の発達がよくない人に多く見られます。
頸椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばんへるにあ)
首の骨と骨の間でクッションの役目をしているの役割をしている椎間板が、ずれて飛び出してしまう病気です。飛び出した椎間板が神経を圧迫すると、肩甲骨や首の後、肩、腕などに痛みやしびれなどの症状が現れます。
頚椎後縦靭帯骨化症(けいついこうじゅうじんたいこっかしょう)
頚椎の後ろにある靭帯(後縦靭帯)が骨化する病気です。
神経が圧迫されることで肩甲骨の痛みの他、手足のしびれ、細かい動きができないなどの症状が現れます。少しずつ症状が進行していくことが特徴です。
まとめ
今回は、肩甲骨のコリを改善する鍼灸治療とツボ、肩甲骨はがしについてご紹介しました。
パソコンやスマホなどが欠かせない現代人は、肩甲骨まわりの痛みやコリが気になっている人が多いようです。
肩甲骨のコリを漢方医学で診ると、血のめぐりが悪くなった状態です。
血のめぐりが悪くなると、肩甲骨や肩のコリだけでなく、腰痛や筋肉痛の原因にもなります。
そればかりか、目の下のクマやシミも血のめぐりが原因です。
常々、自分の肩甲骨の状態を意識するようにし、鍼灸治療やツボ押し等で肩甲骨のコリを改善しましょう。