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漢方薬ってどんなもの? 漢方薬について詳しく知ろう!

漢方薬とは何なのか

 

現在では日本でも多くの医師が漢方薬を処方していると言われています。

さらに、ドラッグストアでも簡単に入手することができます。

ですので、多くの方が漢方薬を服用された経験があるのではないでしょうか。

 

しかし、なんとなく身体に良さそうなイメージがあるだけで、漢方薬が実際にどのようなものなのかご存じの方は少ないかもしれません。

 

また、漢方と漢方薬の違いについてあいまいだったり、漢方薬が実際にどのように処方されたり、どのように服用すればいいのかよくわからない方もいるかと思います。

 

この記事では、漢方薬と漢方の違いから、その歴史も含め、漢方薬がどのように作られているのか、またその効果や服用方法などについてご紹介ます。

 

漢方薬を使ってみようと思っている方や、漢方薬に興味をお持ちの方に読んでいただければ幸いです。

 

 

 

漢方薬と漢方の違い

 

まず、漢方薬とは自然界に存在する動植物や鉱物などの薬効部分を複数組み合わせて作られる薬です。

 

一方で、漢方とは中国伝来の医学全般を言い、気功、鍼灸、養生法など幅広い意味で使われています。

そして、中国の医学が日本に伝わってきたのが、6世紀ごろと言われています。

 

しかし、「漢方」という言葉が使われ始めたのは江戸時代の後期あたりからです。

当時、オランダから伝わった医学を「蘭方」と呼んだのに対して、従来の日本の医学を「漢方」と呼ぶようになったことが始まりと言われています。

 

したがって、中国伝来の医学が日本独自に発展してきたものを漢方医学といい、漢方医学は日本の伝統医学ということができます。

そして、漢方薬は漢方医学に基づいて処方される医薬品ということができます。

では、その漢方薬について詳しくご紹介します。

 

 

 

漢方薬とは

 

漢方薬とは

 

漢方薬とは、複数の生薬を組み合わせて作られます。

中には甘草だけで作られる甘草湯もありますが、一般的には、数種類の生薬が組み合わされています。

 

複数の生薬を組み合わせることで、生薬の偏りが調整されているのです。

例えば、同じ薬効の生薬が組み合わさることで薬効が増強されたり、異なる薬効の生薬が組み合わさることで薬効を抑制しあったりします。

 

絶妙な組み合わせを行うことで生薬の有効性を高め、副作用を抑えています。

また、漢方薬の効能は3段階に別れ、それぞれを上薬、中薬、下薬と言い、これを三品分類と言います。

 

 

三品分類とは

 

三品分類とは

 

上薬は作用が穏やかで長期間の服用が可能であり、副作用が起こらない生薬が含まれています。

 

中薬は上薬の生薬を補助し、副作用も少ない生薬です。

 

下薬は薬効が強いものの副作用を伴う恐れもあるため服用の量や期間に注意が必要です。

 

このように上薬、中薬、下薬の順に効果が高まります。

しかし、その一方で、副作用も高まってしまうので組み合わせには注意が必要です。

 

また、漢方薬を組み合わせるには、各生薬が十分薬効を発揮できるようにする君臣佐使(くんしんさし)という考え方があり、その役割には以下の4つのものがあります。

 

 

君臣佐使(くんしんさし)と生薬の4つの役割

 

君薬(くんやく)

主要な効果の柱となる生薬

 

臣薬(しんやく)

君薬の効果を支える役割を持つ生薬

 

佐薬(さやく)

君薬、臣薬の効果を調整するための生薬

 

使薬(しやく)

各生薬の調和をとるための生薬

 

以上のように、組み合わせる生薬にはそれぞれの役割があります。

また、生薬の組み合わせだけでなく、その分量によっても作用が大きく左右されることがあります。

 

例えば、桂枝湯(けいしとう)と桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)の生薬構成は同じですが、桂枝加芍薬湯は桂枝湯の1.5倍の「芍薬」を使用しています。

「芍薬」は腹痛などに用いられる生薬です。

 

桂枝湯は主に風邪の初期などを含めて様々な目的で使用されますが、桂枝加芍薬湯は腹痛など腹部の症状に対して使用されます。

 

このように、生薬は組み合わせや分量によって適応が違ってきます。何を目的としている生薬なのか理解することで、自分に合った漢方薬なのかどうかの判断材料にもなります。

 

では次に、もう少し細かく生薬について、その分類法とともにご紹介します。

 

 

生薬の分類法

 

生薬の分類法として身体を温める度合いによって、「寒(かん)」「涼(りょう)」「温(おん)」「熱(ねつ)」に分けることができます。

この分類方法を「四気(しき)」または「四性(しせい)」と呼びます。

 

身体を冷やしもしないし、温めもしないしないものを「平性(へいせい)」と言い、平性も加えて5つに分類し「五性」と呼ぶこともあります。

 

例えば、寒性の性質を持つ生薬である黄柏(おうはく)は、身体を強く冷やす消炎作用があるので、熱性の症状を治す働きがあります。

このように、症状に対応した薬性を持つ生薬が使われます。

 

これを「以寒治熱、以熱治寒(寒を以って熱を治す、熱を以って寒を治す)」といいます。

 

 

味による分類方法

 

味による分類方法を「五味(ごみ)」といい、「酸(さん)」「苦(く)」「甘(かん)「辛(しん)」「鹹(かん)」の5つの味により分類します。

 

また、生薬には作用する臓腑や経絡が決まっていて、この作用する場所のことを帰経(ききょう)といい、五味により作用する臓腑も変わってきます。

つまり五味と帰経は深く関係しているのです。

 

例えば、酸は肝に関係し、汗を止めたり、下痢に応用されたりと、引き締める作用があります。

 

 

昇降浮沈(しょうこうふちん)

 

生薬の効能は重さにも関係していて、軽いものは身体の上方・外側に向かう作用があり、反対に重いものは身体の下方・内側に向かう作用があると考えられています。

 

これを昇降浮沈と言います。

花弁や葉っぱなど軽い生薬は昇浮性を持つものが多いのに対し、根・果実・骨などは沈降性を持つものが多いとされています。

昇降浮沈は生薬が身体に入ったときの方向性を示しています。

 

生薬はこのように分類され、症状にあったものが選ばれます。

その生薬を君臣佐使に沿って組み合わせることで、副作用を抑えた漢方薬となるのです。

 

では、その漢方薬を服用する際の注意点などについてご紹介します。

 

 

 

漢方薬の剤形と服用方法

 

漢方薬飲み方

 

まず、漢方薬の剤形として「湯剤(とうざい)」「散剤(さんざい)」「丸剤(がんざい)」「錠剤(じょうざい)」「軟膏剤(なんこうざい)」「エキス剤」などがあります。

 

漢方薬の剤形

 

湯剤(とうざい)

湯剤は漢方薬を煎じて有効成分を熱湯で煮出します。煮出すときに金属製の鍋などを使うと、薬の成分が変わるおそれがあるので、ガラスやほうろう、土瓶などを利用します。

煮出す時間は30分~40分くらいです。

 

散剤(さんざい)

散剤は生薬を粉砕して粉状にしたもので、すぐに服用でき即効性もあります。

 

丸剤(がんざい)

丸剤は散剤に水分やハチミツなどを加え固めたものです。丸剤は体内で時間をかけて溶けるので、薬効が穏やかで持続性があります。

 

錠剤(じょうざい)

錠剤は生薬のエキスを抽出し賦形剤を加えて定型に圧縮したものです。

 

軟膏剤(なんこうざい)

軟膏剤は生薬成分をワセリンなどで固めたもので、塗り薬として皮膚疾患に用いられます。

 

エキス剤

煎じ薬などの成分を濃縮して、顆粒や錠剤に加工したもので、持ち運びの便利さや煎じる手間も省けるため広く用いられています。

 

 

漢方薬の服用方法

 

このように様々な剤形の漢方薬があります。

飲み方は身体を温めて飲むのが基本ですので、できれば、水ではなくお湯で飲みましょう。

煎じ薬であれば、温めなおしてから飲むようにしてください。

 

また、水以外の飲み物、例えば、お茶やジュース、牛乳などで飲むことはしないでください。薬効に影響を及ぼす恐れがあります。

 

服用方法は1日分の分量を空腹時に2~3回に分けて飲みますが、飲み忘れが多い方は飲む時間を事前に決めておくことをおすすめします。

空腹時とは食前30分~1時間前もしくは食後2時間のことをいいます。

 

以上漢方薬の剤形や服用時の注意点を解説してきました。

では、漢方薬はどこで入手すればいいのでしょうか?

 

次は漢方薬の入手方法についてご紹介します。

 

 

漢方薬の入手方法

 

漢方薬を入手できるところはドラッグストア、病院、漢方薬局です。

 

現在ではドラッグストアでも簡単に手に入れることができるようになりました。

しかし、上述したように絶妙な配合によって効能を高め、副作用を抑えた組み合わせになっています。

 

漢方薬に副作用がほとんどないとはいえ、安易な併用は生薬の過剰摂取を引き起こしかねません。

 

もし、漢方薬を併用しようと考えている場合は、店頭の薬剤師などに相談をしましょう。

また、保険の適用がなく、配合されている生薬の量も病院と比較すると少ないので、割高と言えます。

 

病院では保険が利くため、ドラッグストアに比べて割安です。

そのため、長期的な治療に適しています。

 

しかし、使用できる漢方薬は148種類と限定されています。

また、自由診療の場合は保険適用外の漢方薬も使用可能ですが、高額になってしまいます。

 

そして、漢方薬局では病院で扱っていない生薬も入手できますが、保険の適用外となります。

 

では、漢方薬を処方する際にどのようにして、患者に合った漢方薬を選択するのでしょうか?

 

次は漢方医学における診断についてご紹介します。

 

 

漢方の診断方法

 

四診

 

漢方における診察は「望診(ぼうしん)」「聞診(ぶんしん)」「問診(もんしん)」「切診(せっしん)」という「四診(ししん)」によって行われます。

 

 

四診(ししん)とは

 

望診では患者の体型、姿勢、顔色などの外見を見ます。

 

聞診では医師の聴覚や嗅覚を使い、患者の出す声や、口臭、体臭などを調べます。

 

問診では症状に関することだけでなく、生活習慣などの様々な情報を聞き出します。

 

切診では患者の身体に直接触れて診察を行います。

 

医師は四診によって集めた情報を「表裏、寒熱、虚実、陰陽」の八綱(はっこう)という

視点から分析します。

 

 

八綱(はっこう)とは

 

表裏は病位(病状の発症部位)の深浅を示し、表証であれば病位が身体の表面にあり、裏証であれば、病位が身体の内面にあることを示しています。

 

寒熱は病状を示し、熱証は熱が過剰な状態であり、寒証は寒が過剰な状態を示しています。

 

虚実は病勢を示し、虚とは正気が虚弱な状態であり、実とは邪気が隆盛な状態を示しています。

 

以上の「表裏、寒熱、虚実」の6つは陰陽によって統括されています。

つまり、裏証、寒証、虚証は陰に属し、表証、熱証、実証は陽に属します。

 

例えば、陰証の人には、四肢の冷えや無気力などの、寒証、虚証の証候があらわれます。

陽証の人には、発熱や脈が速いなど、熱証、実証の証候があらわれます。

 

このような分析をもとに証をたてます。

 

証をたてるとは診断を下すことで、証に基づき治療法が決められます。

 

その治療法にしたがった、具体的な治療内容が決まり、実際の治療が開始されます。

この時に漢方治療を行うのであれば、漢方薬が処方されることになります。

 

では、漢方薬はどのような症状や病気に効果があるのでしょうか?

 

次は漢方薬の効果についてご紹介します。

 

 

 

漢方薬の効果について

 

漢方薬の効果

 

人はだれでも、自分の力で病気を治す力「自然治癒力」を持っています。

しかし最近では、正しくない食生活による血液の汚れやストレス、身体の冷えなどの原因により、この自然治癒力が低下し、病気や症状が治りにくくなっている方が増えています。

 

漢方薬は体質や生活習慣から身体全体のバランスをみるといった特徴があり、症状が出ているところだけではなく、根本を正そうとすることから改善を目指します。

 

 

漢方薬の得意分野

 

漢方薬にも得意分野があります。

急性の症状、外科的処置を要するものは適していません。

漢方薬が得意とするのは慢性的な症状です。

自分では調子が悪いと思うのに、病院で検査しても異常がない、異常がないと言われるのに調子が悪い、そんな「病気未満」の症状にも適してます。

 

漢方薬の得意分野

風邪・肩こり・冷え性・疲れやすい・ストレス・過食・肥満・便秘・下痢・胃腸不良・神経痛・腰痛・更年期障害・肌トラブル・アレルギー症状等

 

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まとめ

 

以上漢方薬についてご紹介しました。

漢方薬は絶妙な配合で組み合わされています。

上手に組み合わせるには生薬が持つ四性や五味または帰経などにより効能を把握し、君臣佐使という考えに沿った配合を行います。

 

また、漢方薬の剤形には様々なものがあり、各々の都合に合わせたものを選択することができます。

 

漢方薬のことを知り、上手に使用することで、ちょっとした不調にも柔軟に対応できるかと思います。

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