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ストレスも腰痛の原因 ストレス性の腰痛の原因と対処方法について
近年、腰痛は心の病気と深く関連していることが明らかになってきました。
腰痛の治療をしているが改善しない人、整形外科で検査をしても原因がわからないで不安を抱えている人、一度自身の「心」と向き合い「生活習慣」を思い返してください。
睡眠が十分にとれていない、家庭環境に問題を抱えている、職場のストレスに悩んでいる、疲れが取れない等の心の問題による生活習慣の乱れはありませんか?
慢性的な腰痛をかかえる患者さんの約80%が、抑うつ状態が見られると言われており、心の問題が腰痛に大きく影響していることが分かっています。
では、腰痛に関連するストレスとはどういったものなのか、今回は、ストレスと腰痛の関連性やメカニズム、診断方法や治療方法についてご説明します。
ストレスと腰痛の関連性について
ストレスは、生活する中で必ず生じます。ストレスに無縁の人はいないでしょう。
環境の変化、人と会話、怒り、泣きたいくらい落ち込んだ時等、色んな場面や状態でストレスは生じます。
ストレスの強さや感じ方は人それぞれです。
特にストレスを感じやすい人の特徴として、完璧に物事をこなしたいといった責任感が強い人、頑固な人、頑張りすぎてしまう人はストレスを感じやすい傾向にあります。
また、何事にも悲観的な人や過剰な程こだわりが強い人もストレスを感じやすいと言われています。
こういった日常生活に起こるストレスの蓄積が、生活習慣を変化させ、また心理的な負担が脳機能に影響を与えることで、腰痛の一要因になると考えられています。
ストレスからくる生活習慣の乱れが原因の腰痛について
人はストレスを感じると、欲求を満たす思考、行動をとります。
暴飲暴食をする人、喫煙する人、夜遊びをして生活習慣が乱れがちになる人、ストレスから逃げるために非活動的になり自宅で過ごす人、
こういったストレスに対する欲求を満たす行為そのものが、腰痛の一要因となっています。
暴飲暴食による体重の増加は、足腰に負担がかかります。喫煙は、腰への血流が減少することで筋肉を固め、老化を早めるなどの原因になります。
生活習慣の乱れで睡眠が不足すると、身体の緊張が抜けず、常に腰の筋肉が緊張状態となってしまいます。
自宅で一日過ごすなどの非活動的な状態は、身体の筋力が低下することや、身体の関節が硬くなります。
このように、ストレスによる腰痛は、生活習慣と深く関連していることを知っておく必要があります。
また生活習慣が起因する腰痛以外に、心理的なストレスが脳機能や身体の動作に大きく影響し、腰痛を引き起こすと考えられています。
次に心理的なストレスが引き起こす腰痛メカニズムについてご説明します。
心理的なストレスが引き起こす腰痛メカニズムについて
心理的なストレスが脳機能の不具合を起こし、その結果、睡眠障害や疲労感、頭痛、下痢・便秘・吐き気など胃腸の不調、息苦しさ・動悸などの身体に現れるストレス反応が起こることは一般的に知られていますが、肩こりや腰痛として現れることもあります。
息苦しさや動悸の症状は、心理的なストレスにより冠動脈が一時的に痙攣(けいれん)を起こすことが原因と考えられています。
腰痛や肩こりも、心理的なストレスによる脳機能の不具合により、自律神経が乱れ、交感神経が優位(身体がリラックスできない状態)になり、その結果、常に筋肉の緊張が高まった状態となることで腰への血流が悪化し、腰に痛みが現れると考えられています。
また心理的なストレスは、脳機能の不具合の他に身体の動作にも影響を与えていると考えられています。
心理的なストレスを抱えた状態で持ち上げ作業をすると、作業時の姿勢バランスが微妙に乱れ、その結果椎間板への負担が高まり「ぎっくり腰」の発生リスクを高めることもわかっています。
心理的なストレスと「ぎっくり腰」の発生リスクについての実験結果をご紹介します。
新潟医療福祉大学の准教授である勝平純司氏による実験の内容
対象者:健常な日本人男性13人
方法:心理的ストレスのかかる課題を解いてもらい、スクワットをする。
結果:椎間板への負担が、単独でスクワットを実施した場合に比べ、ストレス課題後のスクワットがこれを上回った。
心理的なストレスがかかると、姿勢のバランスが乱れ、その結果、腰への負担が増したと考察しています。
介護作業や運搬作業を伴う仕事をされている方は、ストレスを抱えながら持ち上げ動作を行わないよう、そして日ごろからストレスを溜めこまないよう意識づけていくことが大切です。
ストレス性腰痛の診断方法について
一般的に腰痛が生じたときに整形外科を受診すると、問診後にレントゲンやMRIなどの画像所見を撮ります。
画像を見て腰痛の原因を探り、骨折がないか、椎間板の変性はないか等の診断をします。
画像所見に異常がない場合、まずは経過を見て薬物療法が行われます。鎮痛薬や消炎鎮痛薬を飲んで、腰痛が軽減していくか経過を見ます。
医師が必要と判断すれば、電気治療などの物理療法を選択することもあります。
それでも腰痛が軽減しない場合、ストレス性のものが関連していないか確認することになります。
心因性腰痛の検査方法は、レントゲンやMRIなどの検査をして、骨の異常や病気が発見できないことを確認し、またヘルニアなどの骨の異常が見つかっても患者が訴えている症状と関連しないことを確認したうえで、心理的検査をします。
そのため、心因性腰痛の診断にはどうしても時間がかかります。
では、ストレス性腰痛の治療にはどういったものがあるのでしょうか。
ストレス性腰痛の治療方法について
ストレスが原因となる腰痛には、ストレスにより生活習慣が乱れたことによる腰痛と心理的なストレスによる脳機能の不具合や身体の動作に影響でた結果による腰痛があることは、前述で説明しました。
これらの腰痛を治療するには、既に起きている腰痛の緩和として、整形外科での薬物療法や電気治療などの物理療法、筋肉の血流を改善する鍼灸治療、ストレスの緩和として、心療内科や精神科での心理療法やカウンセリングなどの治療、両方の治療を並行して進めていく必要があります。
ストレスの原因を知ることから始めよう
家族や友人、職場の上司に相談し、ストレス環境の改善に取り組むことが大切です。
自身がどんなことに多くのストレスを感じているか、紙に書き出してみることも、ストレスを吐き出す事になり、ストレスの軽減になります。
家族に相談することでストレスが軽減することもあります。家庭環境によるストレスなら一緒に問題解決を図ることが重要です。
職場のストレスに関しては、上司の理解を得ながら、仕事量を調整してもらうことや、人間関係によるストレス軽減を図るといいでしょう。
心理学者であるアルフレッド・アドラー氏は、人の悩みの9割は人間関係であると明言しています。
少しずつ解決できるところから向き合っていくことが大切です。
心療内科や精神科での治療
自身でストレスの原因を認識し改善すると同時に、心理療法やカウンセリング、抗うつ薬、抗不安薬、精神安定剤などの薬物療法も必要かもしれません。
精神薬等の薬物療法に抵抗がある方も多いですが、必要な時期には薬に頼っても問題ありません。
依存的にならないように、少しずつ薬の量や間隔を空けていくように、医師と相談しながら進めていくことが大切です。
生活習慣の見直しでストレスを軽減しよう
生活習慣を見直し、運動や娯楽を楽しむことです。
ストレスによる生活習慣の乱れは、腰痛になる悪循環を生むことは前述の通りです。
決まった時間に食事や睡眠を取ることもストレスの軽減に繋がります。
また、適度な運動はストレスを軽減することが知られています。運動習慣がない方は、15分程度のウォーキングから始めてみてはいかがでしょうか。
また、好きな趣味や娯楽をみつけ、自身がリラックスできる環境や時間を積極的に見つけていくこともストレス性の腰痛予防に効果があります。
腰の血流を改善し筋肉の緊張を和らげる鍼灸治療
鍼灸によるツボの刺激は、血液の流れをよくし、筋肉の緊張感を和らげる働きがあります。
心理的なストレスによる自律神経の乱れが原因の腰痛や整形外科でも病名がつかなかった腰痛などには東洋医学の鍼灸治療も有効な手段と言えます。
まとめ
今回は、ストレスと腰痛の関連性についてご説明しました。
人間関係の疲れ、過度の緊張感や環境変化など、生活する上でストレスを感じたら、現在の自身の生活習慣や、精神面、人間関係などを全て見つめ直してみましょう。
ストレス性の腰痛の最も有効な治療法は、「ストレスの原因となるものを根本的に取り除くこと」です。