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過食症に効果的な漢方薬と食事に対する考え方について

過食症と漢方

 

漢方では、過食症も拒食症もストレスによる「肝」の衰弱が原因と考えられています。

 

漢方では、人間は自然界の一部だと考え、カラダを大きく5つに分類しています。

 

これが「五臓」という考え方で、“五臓六腑に染みわたる…”の五臓もここからきています。

 

五臓には「肝」「心」「脾」「肺」「腎」があり、カラダを支える5本柱として漢方では昔からとても重要視しています。

 

その中で「肝」には、循環・代謝・発散・排泄・解毒などをコントロールする役割、感情をコントロールする役割、血液を貯蔵する役割があります。

 

感情をコントロールする役割のある「肝」が、ストレスにより弱まると、情緒が不安定になり、イライラや無気力になってしまい「食べる」ことで、感情のバランスを保とうとします。

 

漢方治療では、食欲を抑える漢方薬とストレスで弱った「肝」を元気にする漢方薬で、過食の治療を行います。

 

過食症なら食事量を減らし、拒食症なら食事量を増やせばよいといった単純な病気ではありません。

 

正しい知識を得て、誰にでも起こる病気であることを理解し、正しい治療を行いことが大切です。

 

今回は、過食症に効果のある漢方薬とストレスで弱った「肝」を元気にする食材、食事の考え方についてご紹介します。

 

 

 

過食症に効果のある漢方薬

 

漢方薬

 

過食症の症状を緩和するには、食欲を抑えるとともに、ストレスで弱った「肝」を元気にする必要があります。

 

食欲を抑える漢方薬

 

食欲を抑える、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)や大柴胡湯(だいさいことう)、空腹感を緩和する、八味地黄丸(はちみじおうがん)や潤腸湯(じゅんちょうとう)が効果的です。

 

 

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

 

食欲が旺盛で便秘気味の人に適しています。

 

配合されている生薬は

当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)、山梔子(さんしし)、連翹(れんぎょう)、薄荷(はっか)、生姜(しょうきょう)、荊芥(けいがい)、防風(ぼうふう)、麻黄(まおう)、大黄(だいおう)、芒硝(ぼうしょう)、白朮(びゃくじゅつ)、桔梗(ききょう)、黄芩(おうごん)、甘草(かんぞう)、石膏(せっこう)、滑石(かっせき)

 

 

大柴胡湯(だいさいことう)

 

ストレスから過食に向かうことが多い人に向いています。

 

配合されている生薬は

柴胡(さいこ)、半夏(はんげ)、生姜(しょうきょう)、黄芩(おうごん)、芍薬(しゃくやく)、大棗(たいそう)、枳実(きじつ)、大黄(だいおう)

 

 

八味地黄丸(はちみじおうがん)

 

腎が弱っている人に向いています。

 

配合されている生薬

地黄(じおう)、山茱萸(さんしゅゆ)、山薬(さんやく)、沢瀉(たくしゃ、)茯苓(ぶくりょう)、牡丹皮(ぼたんぴ)、桂皮(けいひ)、附子(ぶし)

 

 

潤腸湯(じゅんちょうとう)

 

体力が中くらいかやや弱い人にむいています。

 

配合されている生薬は

地黄(じおう)、 当帰(とうき)、 黄芩(おうごん)、 枳実(きじつ)、 杏仁(きょうにん)、 厚朴(こうぼく)、大黄(だいおう)、桃仁(とうにん)、麻子仁(ましにん)、甘草(かんぞう)

 

 

ストレスで弱った「肝」を元気にする漢方薬

 

精神的的ストレスが関係する場合は、抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)、加味逍遙散(かみしょようさん)や四逆散(しぎゃくさん)、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいここつぼれいとう)が効果的です。

また気分が落ち込みがちな時は、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)が適しています。

 

 

抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

 

効果

ストレスによる身体への影響を除き、自律神経を安定させる効果があります。

さらに、胃腸のはたらきを整える生薬が配合されているため、胃腸の弱い人でも服用しやすい処方です。

 

配合されている生薬

柴胡(サイコ)、釣藤鈎(チョウトウコウ)、蒼朮(ソウジュツ)、茯苓(ブクリョウ)、当帰(トウキ)、川きゅう(センキュウ)、陳皮(チンピ)、半夏(ハンゲ)、甘草(カンゾウ)

 

 

加味逍遙散(かみしょうようさん)

 

効果

ホルモンのバランスを整える効果があり、またどちらかというと女性向けですが、体が虚弱で疲れやすく、イライラや不安感を整える効果があります。

 

配合されている生薬は

柴胡(さいこ)、芍薬(しゃくやく)、当帰(とうき)、茯苓(ぶくりょう)、蒼朮(そうじゅつ)、山梔子(さんしし)、牡丹皮(ぼたんぴ)、甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)、薄荷(はっか)

 

 

四逆散(しぎゃくさん)

 

効果

神経症や不眠など、心の調子がよくないときにも用い、精神不安や神経症に効果があります。

 

配合されている生薬は

柴胡(さいこ)、芍薬(しゃくやく)、 枳実(きじつ)、甘草(かんぞう)

 

 

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいここつぼれいとう)

 

効果

ささいなことが気になりイライラするなど精神的な不安の解消に効果があります。

 

配合されている生薬

柴胡(さいこ)、半夏(はんげ) 桂皮(けいひ)、茯苓(ぶくりょう)、黄芩(おうごん)、大棗(たいそう)、人参(にんじん)、牡蛎(ぼれい)、竜骨(りゅうこつ)、生姜(しょうきょう)

 

 

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

 

効果

不安感や緊張感、イライラ、抑うつ、不眠、不安感を取り除く効果があります。

 

配合されている生薬

半夏(ハンゲ)、茯苓(ブクリョウ)、厚朴(コウボク)、蘇葉(ソヨウ)、生姜(ショウキョウ)

 

 

 

過食症に良い食材と食事に対する考え方(食の養生)について

 

食事の考え方

 

漢方とは、漢方薬を含む養生・気功・整体・薬膳・鍼灸などを含んだ広い意味があります。、

 

その漢方には「食で起こった体や心のトラブルは食で治す」という基本的な考え方があり、食の養生と漢方薬の力を借りて、ストレスで弱った「肝」を元気にすることで、過食症の症状を緩和することができると考えています。

 

 

ストレスで弱った「肝」を元気にする食材

 

食の養生で大事なことは、「どんな食材」を食べるかです。

過食症の場合、「肝」の働きをよくする食材を使った食事を、3食バランスよく食べると精神が安定し、過食症の症状を和らげます。

 

「肝」の働きをよくする食材

 

シジミ、アサリ、ハマグリ、ホタテ、エビ、カニ、イカ、スッポン、ウナギ、キクラゲ、ヒジキ、鶏レバー、牛筋、キャベツ、レモン、ピーマン、ブロッコリー、菊花、セロリ、トマト、ニラ、春菊、チンゲンサイ、ホウレンソウ、梅、イチゴ、サクランボなどです。

 

 

食事に対する考え方について

 

食の養生で大事なことは、「どのように」を食べるかです。

 

本当にお腹が空いているのか自分に問いましょう

 

食べ物を手にする前に、本当にお腹が空いているの?と自分に聞いてみましょう。なぜ今これを食べたいの? なんのために? そう問うことで、今食べることが本当に必要なのか、ただのストレスからの衝動なのか、気づく助けになります。

 

ストレスからくる衝動だ!と気づいたら、食べたらどうなるか考えましょう。

食べることでは何の解決もしないばかりか、余計にストレスを抱え込み、自分を嫌いになってしまう可能性があることに気付くはず。

 

 

過食の際に食べてしまうようなものはお家に置かない

 

お菓子類やパン、ジャンクフードなど、食べたい!と思った時に手軽に手に取ることが出来ないように、お家にはそういったものを置かないようにしましょう。逆に、果物や野菜、手作りのヘルシーおやつなどでおうちを満たし、我慢できなかったら少しでもカラダにイイものを食べるようにしましょう。

 

 

少なめの量をこまめに食べる

 

1日通しての食事は、ガッツリ多めの食事を1~2食摂るような食べ方は止め、少なめの量を4~5回に分けて食べるようにしましょう。そうすることによって、食欲の暴走を防ぐことが出来ます。

 

朝食、昼食、夕食を少し少なめにして、その間におやつとして、ジャンクフード以外のものを食べるといいでしょう。(果物やヨーグルト、スムージー、ナッツ、さつま芋などはおすすめ。)もちろん、おやつなどではなく、少量の食事を4~5回摂っても大丈夫ですが、その場合、結局食べ過ぎないようにカロリーは少し考えて下さい。

 

 

朝食は抜かない

 

過食・ストレス食いをやめたいなら、朝食はしっかり食べよう

朝食を抜くということは長い間栄養がカラダに入ってこないということ。過食癖のある人は特に、長時間のすきっ腹は過食の引き金にもなり、その後の食事を食べ過ぎる傾向にあります。

 

朝食を食べ早めに代謝にスイッチを入れることは、その後の食欲コントロールにも役立つので、朝はしっかり食べましょう。その際、パンやおにぎり1つで済ますなどはせず、卵や納豆などのたんぱく質を多めにとるようにして下さい。たんぱく質は消化・分解・吸収に時間がかかるため、お腹が満たされている時間も長くなり満足度も高いので、その後にすぐお腹が空くのを防いでくれます。

 

 

たんぱく質を意識的に取る

 

たんぱく質はエネルギーを維持し、1日を元気に生き生きと過ごす助けになる栄養素でもあります。朝食以外にもたんぱく質は毎食摂るようにしましょう。ただし、お肉からたんぱく質を摂る場合は脂身の少ないものを選びましょう。

 

 

お水をしっかり飲む

 

1日1~1.5Lの水を摂って過食・ストレス食いを抑える効果があります。

のどが渇いたという脳への信号とお腹が空いたとの脳への信号が似ていることから、多くの人が、のどの渇き(カラダの脱水状態)をお腹が空いたと勘違いしてしまいます。1日を通して1.5~2Lは飲むようにし、お腹が空いたな、と思ったらまずお水を飲むことをおすすめします。

 

 

ながら食べを止める

 

スマホをしながらテレビを見ながら、何も考えずただただ食べ続けるのは止めましょう。ながら食べはあっという間に結構な量を食べてしまいます。食事だけでなく間食の時も、食べているものに集中し、よく噛んで味わうようにしましょう。

 

 

ティータイムで満足感をえましょう

 

食後にハーブティーやコーヒー・緑茶などを飲むことで、食事に区切りをつけその後のダラダラ食べを防ぐことができます。食欲を満たすこともでき、食事の満足感も上がります。またストレス解消の気分転換にもなります。

 

 

 

まとめ

 

以前は、過食は「甘えや我がままくる 」などと言われていましたが、そのような単純なものではありません。

過食症は不安やストレスなどに基づいて現れる食行動の障害です。

現代医学でも過食症を治す特効薬はありません。

 

過食症を快方に向かわせる一つの手段として、今回ご紹介した漢方薬や食材、食事の考え方を実行し、焦らす治療しましょう。「焦りは禁物です。!」

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